第34話 おじさんとJK(21)

「お父さん、お母さん、私……。あれが欲しい。あれが……」



 怖顔のおじさんの容姿とは不釣り合いな清々しく透き通った声色での、只今お買い得だといった高らかな商品アピール──!


 それに反応をするように子供の声音が聞こえてくる。


 それも家の怖顔のおじさんの売り場──。販売ブースの売り場台の上に、丁寧に並べられた僕達【芋かりんとう】他、お菓子や珍味、ドライフルーツ達へと子供……。




 そう、幼い頃の天使仕様のJKのお嬢さまの幼く小さい紅葉のような可愛い掌につく。今よりも更に細くて小さな指先が指し向けられるのだ。


「……ん? どれ? どれなの?」


 幼く可愛い天使の指が指す先を母は……。




 そう、JKのお嬢さまのお母さまは、自身の幼い娘が指す先を凝視しながら。未だ幼い天使の頃のJKのお嬢さまへと問いかける。



「ん? ママ、あれだよ? あれ~? 絵里は、あの【芋けんぴ】が欲しい~」と。


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