第33話 おじさんとJK(20)

 まあ、この売り場にいる僕達皆が声の主であるJKのお嬢さまの今の小悪魔さま仕様ではなくて天使の仕様──。


 歓喜に近い声色を放ち──。僕【芋かりんとう】を名指しした声の主さまである小さくて幼い天使さまへと注目をしたのだ。


 と同時に?


「さぁ、あああ~。どうですかぁあああ~。いかがですかぁあああ~?」と。


 おじさんのハツラツとした声色──。


 そして、透き通った声音での、お客さま達に対しての呼び込みの台詞──。


「今なら三袋~。千円のところを~。よりどり、五袋~。千円―! そう~? 今ならぁあああ~、千円―! 千円でいいよー! さぁあああ~。いっしゃいぃ~! いらっしゃいぃ~!」


 そう、僕達の怖顔のおじさんは、自身の生まれながらに備わった怖顔とは裏腹な、大変にハツラツとした明るい声色と。誰が聞いても嫌悪感を募らせない、どころか。


 好感度と興味心をそそる透き通った声音で、只今自身が販売する僕達お菓子や珍味、ドライフルーツ達等がお買い得──。セール中だと、自身の売り場の前を通る人達──。


 特に天使の少女を仲良く、夫婦水入らず、で、両脇から優しく手を握りながら歩行をして、僕達や怖顔のおじさんのことを注目──。興味津々に凝視しながら歩行を続けている家族へとアピールをするのだ。


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