第29話 おじさんとJK(16)

 そう、天使の微笑みという奴を彼女は、怖顔のおじさんへとくれているのに。『この男性(ひと)だけは……』の、いつもの通りでね。

 こんなにも愛想良くおじさんへと微笑んでくれるJKのお嬢さまへと不愛想……。




 十代の少女の若々しく清々しい天使の微笑みに魅入られ見惚れて──。僕達【芋かりんとう】達のように照れ恥ずかしそうにしながら。自分の頬を薄く桜色に染めるようなこともなく素知らぬ振りで手悪さ……。




 そう、出店用の店出しを黙々としている。



 ということはないか。



 まあ、当たり前。




「ああ~、持っていけ──」とだけ。JKのお嬢さまに言葉を返す。相変わらず不愛想、でだ。


 だから僕【芋かりんとう】はおじさんのことを致し方がない男性(ひと)だと思う。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る