第425話 配置完了、作戦開始
キューが必要とした八つの
新たに増援として加わった
いよいよ、キュー考案の策を遂行する事となった一行は当のキューからの合図を受けた直後、変わらず一行を襲い続けている魔王の猛攻を紙一重で回避、望子を中心に集結し。
『何じゃ……? また何ぞ企んで──』
無駄な抵抗をと思いつつ、ここまで来て意味のない行動を取るとは考えにくいとも思っていたコアノルは、やはり攻撃自体は行いながらも望子たちの一挙手一投足を見逃さぬ様に集中し。
(単なる陣形ではない? まるで、
望子とカナタを中心とした、何らかの意味や目的がなければおかしい、もっと言えばそれは銃や大砲の如く何かを発射する事を目的とした特殊な陣形であると看破したコアノルの結論は。
『──〝砲塔〟……?』
こちらに向けて何かを撃ち出す、砲塔を模した何かを造り出す為の集結であると断じたが──それが何だと言うのか。
今、コアノルに通用する力は蒼炎、瑞風、呪毒の三つ。
仮にそれらを砲弾として発射するにしても、こちらが避けるか叩き落とすかしてしまえば終わりだし、あちらとしても貴重すぎる戦力をむざむざ失う事になってしまう筈。
だとしたら一体、何を撃ち込むつもりで──?
「さぁミコ、カナタ! キューが作った砲塔に入って!」
『うん!』
「え、えぇ……!」
「発射時と飛翔時の衝撃は全て私が受け止めますので!」
「砲塔は俺が支えてやんぜ! この腕っぷしでな!」
そんな風に熟考する魔王をよそに、キューが
「アドライトは
「まさに私の役目だね、っと」
「発射に必要な火薬とガスをウルとリエナ、撃鉄をフィンとカリマが代替! ピアンとファタリアはそれぞれの支援を!」
『「ッしゃあ!」』
『気合い入れてくよー!』
「はい!」
「ま、若い子たちに負けてられないしねぇ」
「はッ、全くだ」
肝心要の〝発射〟の工程である、キューの策において最も必要な人材が多くなる段階を担う六人は来るその瞬間に備えて内在する魔力だけでなく、形振り構っていられないとばかりに魔大陸の魔力さえも糧としていく。
……リエナとフィンは内在魔力に頼るらしいが、それも当然と言えば当然、何しろ二人には魔王の肉体に砲弾が通る事が出来る程の傷をつけるという重要な役割があり、ここで魔力の純度を落とす訳にはいかないのだから。
「撃ち出した砲弾が空気の壁に負けてしまわない様に、ハピとルドは風を操作! 強すぎず弱すぎず、息を合わせて!」
『えぇ、任せてちょうだい』
「まるで共同作業だな、俺と貴女の──」
また、レプターが展開する結界を信用していない訳ではないものの、ここが魔大陸であり他の大陸とは空気そのものの構造からして違うという事を考慮すると、まさかの事態を想定して動く事は決して間違いではない筈であり。
ルドの世迷言はともかく、この二人に風圧の調整を担わせる事も決して間違いではないとキューは確信している。
「それから最後、キューの計算だと途中で速度も高度も足りなくなる。 その時、二人が入った砲弾を後押しするのが──」
「──あたしって訳だ。 いいよ、任せな」
それに加えて、ここまでやってもギリギリ魔王には届かない筈だとあらかじめ分かっており、そんな砲弾に追い風を吹かせるのが己の役目だと把握していたスピナの表情に焦燥は見られない。
リエナなんかもそうだが、年の功という物なのだろう。
「そして何より、第一段階の君たちが鍵。 これが駄目なら、そもそもキューの策なんて何の意味もない──頼んだよ」
「「……」」
「しくじるなよ、エスプロシオ。 役目を果たしてこい」
『グルルアァ!!』
そして、そもそも最初に〝魔王の動きを一瞬でも止める〟事が出来なければ、ここまで立てた策など一切の意味を為さない事は全員が、何よりポルネとウェバリエ自身が最も理解出来ていた為、威勢良く吠えるエスプロシオと対照的に神妙な表情で二人が頷く中。
『何を目論んでおるのか知らんが、所詮は木っ端の浅知恵じゃろう!? 来るなら来てみよ、叩き潰してくれるわ!!』
「いくよ皆! 作戦──開始!!」
痺れを切らしたコアノルの叫びを皮切りに、キューの合図を待っていたかのように勇者一行と増援による──。
──最後の作戦が開始した。
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