手荒れ

 ぴりっとした痛みに眉間に皺が寄る。

 仕事柄、炊事場で水に触れることが多いせいか、冬場はよく手が荒れる。できるだけハンドクリームで手入れをしていたが間に合わなかった。

 去年は少し荒れた程度で大丈夫だったが今年はだめだった。環境だとか心境の変化だとかで同じ仕事をしていたとしても手荒れができたりできなかったりするので本当に不思議に思う。

 関節ごとにぱっくりと割れ、あかぎれも所々。軟膏を塗って絆創膏を貼ってようやく落ち着いて煙草を吸う。溜息と一緒に煙を吐く。

 絆創膏のせいで指が上手く曲がらないが、家では細かい作業をする予定がないからまあ大丈夫だろうと思っていたが、煙草を吸うためのライターがちゃんと持てずに苦戦する羽目になった。やっとこさ点いた火で煙草を吸っていたがその時に荒れた場所に痛みがあった。

 まるで禁煙でもしろと言われている気分だ。やめる気なんて更々ないのだが。

 早く手荒れから解放されたいと願いながら短くなった煙草を灰皿に押し付け、新品の煙草を一本取り出し口に咥えた。

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