第1話 はじまりの光【回想】
*
遡ること十数年前。地上は曇りであろうか、その日の木漏れ日の森は暗闇に包まれていた。
キノとキャンティーはろうそくの微かな明かりの中、酒を
「キノ、その傷どうしたんだ?」
キャンティーは首を指差す。
「これか……」
キノは
「これは、三年前にマドレという魔女につけられた傷じゃ」
「あぁ……。ルーが産まれたときの……」
キャンティーはグラスのワインを飲み干す。口の中に果実の渋みが広がった。
「あの時、わしはこの子から本物の家族を奪ってしまった……」
実は、キノとルーは血縁上の家族ではない。
三年前の戦いで、ルーを狙ったマドレとの戦いにより亡くなった両親の代わりに、キノは
マドレはキノとの死闘により、大きな傷を負って逃げ出した。傷を
「この子はわしにとってだけではなく、魔女にとっても特別な子じゃ。いずれ再び、狙われる時が来る。その時はわしが……この子だけは……必ず守ってみせる」
揺れる炎を映す、その目には血を越えた本物の家族の覚悟が見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます