復活

「ねぇ、エト」


ボソボソひとりで呟きながら死んだ目をして賞味期限切れの弁当を見つめているエトに話しかけるミヤ。


「何?」


口だけ動かして、目線はしっかり弁当を凝視しているエト。


まるで何かのゲージを溜めているかのようだ。



「このままでいいの?」

様子を伺うようにエトの顔を覗き込むミヤ。


「いいわけないだろ‼︎」


ミヤを視界に入れた瞬間顔を真っ赤にしてキレだすエト。


地団駄踏んでアホみたいに踊りだす。


「腹は減るし、仕方なしに食べたものは当たるし、食った以上に吐いたし。あとが怖くて何も喉を通らないし最悪だ‼︎」


「そうよね、少なくとも何が食べないと死んじゃうわよね」


今すぐじゃなくとも、このまま何も食べなければ待っているのは死だ。


「なら私が今からなにか食べれそうなものを探して来るから待ってて」

少なくとも今一番まともな自分が彼らを支えねばと、気合いを入れてエトが食べれそうなものを探しに行こうと、ジャージの腕をまくるミヤ。


「いや、いらない」



すると、エトはミヤを止め、勢いよく賞味期限切れの弁当を開けた。


「エト!?」


エトの行動に驚き、慌てて駆け寄るミヤ。


また当たる可能性のあるものを食べさせるわけにはいかないと、エトを止めるつもりだ。


だが、ミヤの手が届くより早く、エトは勢い任せに賞味期限切れの弁当を口一杯に頬張った。


そして、ろくに噛みもせず飲み込み、ミヤの方へ振り向く。


「よし、考えても仕方ない、やるぞ」


まるでさっき溜めた何かのゲージを開放させるように元気になったエト、


それを見たミヤの表情も明るくなる。


「やるのね‼︎」


パンッと手を叩いて喜ぶミヤ。


「まずは嫌で嫌で仕方ないが、職探しだ」



「……嫌なのね」


次の瞬間にはガクッと肩を落とすミヤ。


「そりゃな、絶対人間と関わらないといけないからな、それが嫌だ」


一切のぶれなく人間嫌いを告白するエト。


「大丈夫なの?それで」


そんな調子で大丈夫なのか、いきなり先行きが不安になるミヤ。


「大丈夫だ。さっきう○こをこの目に焼き付けたからな、あれをこれから会う人間全員の顔に重ねれば大丈夫だろう」


胸を張って最低な発言をするエト。


「めちゃくちゃするわね」


呆れたとばかりに手をひらひらさせるミヤ。



とはいえ、



エトのやる気が出たならよかったと胸を撫で下ろすのだった。

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