第15話*現代VS剣と魔法

 近衛騎士が見たその巨大な竜は王国の兵士達を襲うことなくその上空を通り過ぎていった。



「なんだ?」



 その巨大な竜が過ぎると、空から何やら塊が落ち来るのを見ていた。



「落石攻撃か。ふん、何と幼稚な。皆の物ぉ、落石に注意、魔導士は結界を張って落石を防げ」


「はっ!」



 近衛騎士の命令を受け魔導士たちが結界を張る。



「所詮は、王の言う通りこの世界に来たばかりのガキどもか、竜を飛ばせても操れないと」



 近衛騎士は鼻で笑い、兵士たちに号令を出した。



「進めぇええ!」


「ドォオオオオン」



 その号令と共に戦場に爆発が巻き起こった。その爆風によって生じた土煙で視界を近衛騎士は奪われる。



「なにが、起きた。疾風ウィンド



 近衛騎士は戦場に巻き起こった土煙を魔法で払う。すると、そこには跡形もなく吹き飛ばされた兵士たちの死体の山が気付かれていた。







「こちら機長の柳拓斗やなぎたくと。目標を投下完了。状況は?どうぞ」


「こちら千歳。全弾敵に命中壊滅的被害。ナイスタイミングです。竜騎士さん」


「ハハハッ。やめてくれよ。これは竜じゃなくて、戦闘機じゃないか」



 空を超高速で飛ぶそれは竜などではなく戦闘爆撃機。地球の現代兵器であった。


 それに乗っているのは墜落した飛行機の機長をしていた柳拓斗であった。彼はこの世界では最上級職業である竜魔道騎士を職業を授けれていた。



【竜魔道騎士のスキルは以下です】


 ・騎乗

 ・意思疎通

 ・合体魔法

 ・魔法共有




「さすが、武器商人。なんてもの、持ってんのよ」



 千歳は城壁の上で戦場を見ながら、機長のスキルを笑いながら見ていた。


 スキル『騎乗』はその名の通り、乗ったものを操縦するスキルで、本来のこの世界で言えば馬などの生き物が前提なのだろうが、このスキルは戦闘機に乗る際にも発揮されたらしく、操縦方法がなぜか手に取るように理解できたという。


 正直、他のスキルはドラゴンに乗ってないと意味のない死にスキルではあるが、今は『騎乗』スキルさえあれば、十分だった。




「グオオオオ!」



 敵の崩壊した軍勢の中から今度は本物の竜が突然出現してそれへと飛翔した。その様子を見て千歳は一言言った。



「戦闘機VSドラゴン。B級映画じゃないんだから。墜落させられないでよ」


「了解。現代兵器がドラゴン負けないってことを証明して見せるさ」







 第一近衛騎士は念話で会話をしていた。



「頼んだぞ。第三近衛騎士ドライ。あの竜を殺せ」


「任せろ。俺とコイツで仲間の仇は討つ」



 念話を閉じると、第一近衛騎士は真っ先に突っ込んだ兵士のほとんどが、先ほどの爆撃で死に絶えている戦地を見た。



「これが、帝国の勇者以下だと、そんな馬鹿な。帝国の魔導士の勇者でも、これだけの最上級魔法を同時に発動など出来ないぞ」



 第一近衛騎士が困惑していると冒険者達がこちらに突っ込んできた。第一近衛騎士は剣を強く握りしめる。



「なめるなよ。あの程度の魔法。この第一近衛騎士アインツには効かぬぞ」



 そういうと戦地へと駆け出してゆく。








 最初の一撃事うまくいったものの、敵軍と千歳達の数には、まだ圧倒的な差がある。だが、千歳は全くと言っていいほど、心配していなかった。



「『亜空魔』?」


【はい】


「勝率は?」


【作戦を実行すれば、99.9...%です。神の干渉でもない限り敗北はありません】


「なら、始めましょう。殺戮を」


【全主要メンバーに作戦開始を通達しました】






 戦場で冒険者を切り伏せた、第一近衛騎士は目の前にいる。黒ずくめの男に目が行く。



「何だ貴様は、その服装。勇者か?」


「拙者は、勇者出はなく、殿に使えし忍者にござるよ。服部段蔵、参る」


「名乗るか。いいだろう。第一近衛騎士アインツ。オスカー・レナードだ。行くぞ」



 第一近衛騎士アインツと忍者の化かしが始まる。






「ねえ、あなた名前は?」


「生意気な勇者だな。しかも女とは、ふざけている。女は男の慰み者にでもなっていればいいものを」


「ああ、名前は良いわ。獣の名前なんて聞くだけ無駄だったわ。バラバラに解剖してあげる」



 第二近衛騎士ツヴァイと医師の人体実験が始まる。





 上空では鉄の竜と、赤いドラゴンが空で追いかけっこをしている。そして、赤いドラゴンから火球が放たれる。



「あぶねえ、こんな操縦、一度はやって見たかったんだよ」



 戦闘機は緊急回避を取りその火球を避けた。



「さて、そろそろ、反撃しますか」




 第三近衛騎士ドライと機長もとい竜魔道騎士の空中戦が始まる。





「中々勇者にしては立派な格好をしてますね」


「当然だ。私は仕事をするときは10年以上スーツを着て生きてきている。異世界に行こうがそれは変わらない」


「ここは戦場ですよ?」


「関係ない。私からすれば、ここにいるのは、ただの肉体労働者の集まりだ」



 第四近衛騎士フィーアと、エリートサラリーマンもとい、賢者の仕事が始まる。






「オウ!。ソレハ魔法デスカ?」


「あっ?。なんだ貴様はこの冒険者の知り合いだったか?」



 騎士は鉄のような体をしながら、冒険者の心臓を素手で突き刺していた。



「イイエ。違ウデスヨ。デモ、中々ニ、試シガイノ有リソウナ体デスネ」



 第五近衛騎士フンフと武器商人の検証が始まる。







「お前はふざけているのか、さっきから」


「ええ!、ふざけなんていないですよ。ただ、こんなリアルな戦争を撮らないなんてありえないでしょう」



 武器ではなく、カメラを構え騎士を撮影する男がいた。



「戦場でふざけてるやつが一番嫌いなんだよ俺は。お前をギッタンギッタンにしてやる」



 第八近衛騎士アハトと監督の撮影が始まる。






「千歳ちゃん。見ててぼくはこの勝利を君に捧げるよ」


「お前は勇者か?」


「ああ、そうさ、勇者として姫を守るのがぼくの仕事だ」


「純正勇者を引き当てるとは俺は運がいい。一番強いだろうお前をやれば、昇格間違いなしだな」



 第十近衛騎士ツェーンと勇者の戦いが始まる。

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