第5話*王都掌握

(許可しますか。って言われてもね……何か判断材料ないの?)



【帰属化を求めている人物の職業を表示します】


 1.江藤正樹・人形使い(上級職業)

 2.西方秀樹・樹海生成士(上級職業)

 3.的場真 ・貫通弓士(上級職業)

 4.小山陸 ・地熱操作士(最上級職業)

 5.緒方克己・創液士(上級職業)



(職業を見てもこいつらが使えるのかがわからない……でも、まぁ、どんなことができるのかは想像つくけど、強さがわからない)


【現在。この五人でマスターを殺せる者はいません】


(あっ。そうなんだ。うーん。殺すってほどでもないし、まあ、いいか)


【五名の帰属化が終了しました】


「わかったわよ。許してあげる。ただしこれからは私の国でちゃんと働いてもうわよ」


「はい!......国?」


「後で説明する。それよりも、おまたせ王女様」



 千歳は先程から固まっている王女を見る。



「お、お主。私に何をした」


「うーん。何をしたかって言われると、説明に困るんだけど。そうね、家をもらったってとこかしら?」


「何を言って」


「あ、わかった。ここね。私のダンジョンになったのよ。これで伝わる?」



 千歳の言葉に最初は理解が追いついていなかった王女の顔がだんだんと青ざめていく。



「なんだ、それは、そんなこと聞いたこともない。ダンジョンマスターが人の住む場所をダンジョンにするなど」


「そうなの?。でも、できちゃったよ。他のダンジョンマスターもやろうと思えばできるんじゃない?」


「ふ、ふざけるな。父上が戦場から帰ってくれば貴様なんぞ」


「うるさい」



 千歳がそう言うと王女が消える。



【エリザート・ベルン・レオルタを追い出しました】



 うるさかった王女を追い出して千歳がスッキリしていると、飛行機事故のときに一緒にいた女子が話しかけてきた。



「千歳ちゃん。そのどういうことなの?。正直私達わけがわからないんだけど」


「まぁ、そうだよね」 



 千歳は大広間の階段をかけ登り、みんなに自分がわかる限りの説明をした。





「え、つまり、ここはもう千歳ちゃんのものってことなの?」


「多分そうだと思うけど」


「すげえ、城がまんま家だと。なあ、俺達も住んでいいのか?」


「いいんじゃない。広そうだし」


「よっしゃあ」



 同級生たちが大喜びする中、やはりあのエリートサラリーマンが口を出す。



「これからどうするつもりなんだ」


「えっ?」


「王都には当然この世界の人間がまだ住んでいるんだろ。王族と兵士を追い出してしまった今。君は完全な敵だ」


「そうだけど」


「当然、先程も最後に王女が言っていたように軍勢が、王都を取り返しに来るぞ」


「それなら、俺達が相手をするだけだろ。なあ、みんな!」



 先程、帰属化したばかりの人形使い江藤正樹が煽るが、



「少年。ことはそう単純じゃないぞ」


「えっ!?」


「君たちは人を殺せるのか?」



 そう言われたとき、はいと、答えられる人はだれもいなかった。



「もし人を殺せるようになって、ここを完全に手に入れたとして、王都にはおそらく何万という人たちが生きているんだ。その人達はどうするんだ。追い出すのか?

 千歳さん。君のそのダンジョンマスターの力でこの問題は解決できるのかい?」


「いま、確かめてみる」



 そう言うと千歳はエリートサラリーマンが行ったことを解決できるか確認した。



【帰属化している者にスキル『生殺与奪権』を与えることは可能です】


(知らないの出てきた。スキルって何?)


【スキルとはその職業の練度によって発動する特殊な能力のことです】


(それは見れるの?)


【可能です】


(後で見よ。それで『生殺与奪権』ってどんなスキルなの?)


【生き物の命を奪うときや、命の危険が迫っているときでも常に冷静にいられる能力です】


(それを使えば、殺しもできるようになるの?)


【少なからず、殺すときに感情が壊れることはないです】


(じゃあ次、何十万人いる人達から住んでもいいか許可取れる?)


【只今確認中】



 画面が確認中になると、先程帰属化した五人が驚く。



「なんだコレ?頭に声が響く......ああ、なるほど、当然僕たちはイエスで」



 少しの時間がして画面が切り替わる。



【結果。王都にいる人間150,235人中。150,056人がイエスと回答しました。これにより、人々から王として認められました】


(何したの?)


【マスターを王とした場合のメリットを提示しました。その結果。身分の高い者たちから反発を受けましたが、多数決で可決されました】


(メリットって?)


【貴族制の撤廃による民主主義の開始。貧困問題解決のための食料問題改善。奪われた土地を奪還するだけの軍事力の強さ。の3つを重点的に押しました】


(私何も行ってないよ)


【代わりに行っておきました】


(いや。。。)


 

 自分の能力であるはずの存在の実行力に弱冠引く千歳であった。そして、とりあえず千歳はこのことをエリートサラリーマンに告げる。



「すごいんだな。君の能力は」


「いやあ、それほどでも」


「なら、自分もこのダンジョンに帰属化しよう」


「私も」


「俺も」



 こうして、千歳は一夜にして王都を手に入れた。そして最後にエリートサラリーマンが大事なことを聞いた。



「追い出した。連中はすぐに帰ってくるんじゃないのか?」


(どうなの?)


【追い出されているため、帰属化している間は侵入不可能です】


(今はどっち?)


【帰属化中ですが、明日には王都にいる一部の人間含め貴族化が解けると思われます】


(どうして?)


【前王が明日の夕方には帰還します。今回の提案に了承しなかったものは前王到着により帰属するのが前王となります】



 千歳はこのことを皆に知らせた。



「てことは、明日、異世界での初戦闘だ。頑張ろうぜ、みんな」


「おお!」



 その日はもう夜であったため、明日に備えるべく好きなところで寝ることになった。







 千歳も色々あったため、眠くなっていたが、ふととあることが気になった。



(そういえば、何をもとに殺せるかどうかを判断していたの?)


【レベル及びステータスを元に判断しています】


(なによそれ。見せて)


【現在のマスターの権限ではお見せできません】


(誰なら見れるのよ)


【神】


(ああ、そういうこと)



 千歳はレベルとステータスを見れるのは神であると知ると、ひとつの質問をした。



(なら、私もいつか神になれるの?)


【十の試練を突破すれば】


(その試練って?)


【レベルが基準値に達すればあたえられます】


(そう。レベルってどうやって上げるの?)


【敵を殺せば上がっていきます】

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