第4話*奪われた王都
「ど、どうした?。何をしておる。さっさと殺さぬか!」
王女は兵士たちに喝を飛ばす。なぜなら、千歳に切りかかる寸前に兵士たちの動きが止まったからだ。
「そ、それが体が動かないのです」
「何を言ってるんだ?」
「王女様。ここは私が」
体が動かなくなった兵士たちを尻目にして、王宮筆頭魔導士が前に出て呪文を詠唱する。
「燃え尽きて灰となれ、
巨大な火の玉が千歳を襲う。その大きさは千歳を囲んでいる兵士たちをも飲み込むほどの大きさであった。しかし、その巨大な火の玉は千歳の目前で消えてなくってしまう。
「ばかな!?」
「エドガー何を手加減しているの!。本気でやりなさい」
「はっ。我が最強の魔法を」
王宮筆頭魔導士が次の呪文を唱えようとした時だった。
「ちょっとうるさい。あんた邪魔」
千歳がそういうと、王宮筆頭魔導士は跡形もなく姿を消す。
「へっ?」
王女を突然の出来事に遂まぬけな声をあげる。
「おいおい、これなんだよ。やばくないか」
「お、俺達も消されるんじゃ?」
「おお、彼女が主人公でござったか」
「に、逃げようよ。今のうちに」
その現象に周囲がざわめき始める。
(なにかへんなのが混じってた気がしたけど気の所為かしら?)
千歳は周囲の状況を無視して目の前のことに集中することにした。
【検索の結果。現在ダンジョン内にいる人間はは153,235人です。この内ダンジョンに帰属していないのは、13,503人でした。帰属しなかった存在を敵としてダンジョン外に強制転移させますか?。
なお、これはダンジョン生成後に一度だけポイントなしで使えます】
(どうしよう?。さっきのおっさんは邪魔だったから先に追い出したけど。帰属してない人で危険な人はわかる?)
【帰属していない人物で、現在のマスターを殺し得る存在は234人です】
(そんなにいるんだ。あっ?)
千歳は心の中で気付く。
(転移してきた人を抜くと何人?)
【転移者を抜くと13人です】
(てことは、もともとこの世界にいる人で近くにいて私を殺せるのは13人だけなんだ。ていうか、どこまでがダンジョンになったの?)
【ダンジョンは人間が命名した名前で言えば王都ベルン全域となっています】
(つまり、王都は完全に支配下になったってこと?)
【はい。強制転移は使いますか?】
中々にしつこく強制転移の使用を聞いてくる。
(どうしよう?。とりあえず、王宮にいる兵士たちが邪魔よね)
【受諾しました。王宮内の兵士をすべてダンジョン外に追い出します】
(え?あっ)
千歳が撤回しようとするよりも早く、千歳の周りを囲んでいた兵士が消え去る。
【なお、兵士たちはダンジョンに帰属していたため、強制転移機能を必要としませんでした】
(よかった。大事そうよね。こういう機能って。とりあえず今は強制転移は使わなくていいわ。私の命が危険になったら使ってね)
【受諾しました。なお、現在の残りポイントは500ポイントです】
(どうしようかな?)
千歳がより深く自分の能力を知ろうとした時だった。
【エリザート・ベルン・レオルタの謀反が発生しました。現在拘束しています。次から執行内容を選んでください。】
1.追い出す
2.殺処分
3.監禁
4.解放
(またなの?。あっ!。そうだった私殺されかけてたんだった)
千歳はダンジョンマスターとなった影響なのかそれとも元からなのかは自分でもわからないが死に直面しても全くと言っていいほど何も感情が動いていなかった。
そして、千歳は謀反を起こしたと表示された王女を見ると、手に身の丈に合わない大剣を振り上げた状態で固まっていた。
(はぁ、どうしよう。私を殺そうとしたわけだし、でも今殺しちゃうと、みんなビビってるしな)
千歳は周りの同級生と飛行機の乗客たちの様子を見る。だれもが目を合わせまいと顔を伏せる。
(死人が生き返ったりしないのかな?)
【200ポイントを消費することで死体を蘇生することは可能です。ただし、蘇生できるのはダンジョンにあった種族のみとなります】
(ダンジョンにあった種族?)
【現在このダンジョンにあった種族は人間種です】
(なら、この死体を蘇生できるの?)
【死んでいないため蘇生は不可能です】
(えっ?。死んでないの?)
見るからに地面に横たわっている同級生たちは死んでいるように見える。
「死んだふりしてるの?」
千歳は何げなく、特に意識することなく疑問を口にしただけであったが、とてつもなく冷徹に聞こえた。そして、その声にビビりながら、死体となっていたはずの同級生が顔を引きつりながら起き上がる。
「あは、ははは」
かなりいびつな顔で笑ってごまかそうとしているように見える。同級生は皆男子であったが、千歳の冷酷な目は真実以外許されないと感じさせるほどに怖く映っていた。
「す、すみませんでしたぁああ!」
死んだふりをしていた男子生徒が勢いよく土下座をかました。
「その、ちょっとした出来心だったんです。少し手伝えば戦わなくても一生遊んで暮らせるようにしてくれるっていわれて」
土下座をしながら、リーダーらしき男子生徒がすべての真実を吐き出す。
「私、その出来心で死にそうになったんだけど」
「言葉もありません。どうか命だけは」
この様子を見ていた周囲の人たちから死んだふりをしていた男子生徒達に罵声が飛ぶ
「最低!」
「ゴミね」
「消えちまえ」
「有無。やはり死んだふりでござったか」
「死んで償え」
(やっぱり、変な言葉が混じってる?)
男子生徒はゆっくりと千歳の顔を伺う。
(はあ、どうしよう)
千歳が迷っていると。
【
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