第15話:妊娠…アフリカの光

 始めようとした時あれを捨ててしまったことに気づいてしまったと思ったの。あの時こうなる事も考えてもうちょっと冷静になるべきだったって思った。一瞬やめようかと思ったけど……ダメだった。モデル顔でセクシーボディーでツルンツルンのお肌をした愛のリベラリストの私と毛だらけで全身真っ黒な人類の祖先の彼の愛はベルリンの壁どころか全ての壁を簡単に突き破ってしまったの。



 毛だらけで全身真っ黒な愛の案内人は下手くそで、すぐに道を見違えるからそのたんびに叱ったの。「あなた何回道を間違えるの!いい加減にしてよ!」って。したら呆れたことにこの案内人はウキー!と私に逆ギレしだしたの。部屋中を暴れまわって壁なんか引っ掻いたりして一瞬職場放棄したのかと思ったぐらいよ!でも彼は愛の案内人をやめることは出来なかった。だってお客さんはこのモデル顔でセクシーボディーでツルンツルンのお肌を持った私ですもの。


 暗闇の中互いの手を握り合う二人。案内人の鍵が大きすぎて私のジープと合わなかったけど無理やり差し込んでようやく出発出来た。さあ、案内人さん。私を目的地まで連れて行って!


 密林を超え、谷間を越え、ジープは進んでいく。ジープは驚くほどの滑らかさで激しい振動を感じさせながら生暖かいぬかるみを駆け出す。私と案内人さんはかわりばんこで運転しながらこのぬかるみを突き抜けて行くの。


 毛だらけで全身真っ黒な案内人さんの運転する車の中で立て続けに起こる激しい振動を感じながら私は過去を思い出していた。なんだったのだろう、今までの私は。友達みんなにバカにされるのが悔しくて年齢詐称で参加した合コンで東大生と一夜を過ごした悲しみの午前3時のオプ。今も花束をかきむしるような痛みと共に思い出す。その屈辱を忘れようと毎夜クラブに入り浸り疲れ知らずの男あさりをした日々。ああ!あの99人の男たちはなんだったの!


 私は自分が恥ずかしくなる!あなたと出会わなかったら私まだあんなことをしていたかもしれない。あなたのおかげで私本物の愛を知る事が出来たの。今全身であなたの愛を感じてる!



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