第13話:妊娠…戦闘、開始 その2

 私は彼の頭を撫でながら彼と出会った時の事を思い浮かべてた。さっき初めて会ったばかりなのにずっとこうして付き合ってるみたい。このまま恋人同士になってもいいかなって思ったところでなんか悲しくなってきちゃったの。なんか涙まで出てきそうになったから寝ている彼を起こさないように気をつけながらそっと部屋を出たの。



 早く私もお風呂入らなきゃと着替えを持ってお風呂場のドアを開けてあらためてタイルに積もった彼の毛の多さにビックリしたの!もう積雪何センチなのよ!もういろんな毛が散らばってどれがどこの毛だかわかんないわ!私はお風呂入る前にコイツを片付けなきゃとゴミ袋持ってきて彼の毛を入れてったの。とりあえずゴミ袋に彼の毛を全部入れたんだけどゴミ袋2つも使っちゃった。一体どこにそんな毛があったのよ!私は何本も腕に貼りついた彼の毛の一本を摘んで眺めたのホントに太い毛。でも触ってみるとなんか柔らかいの。もしかしてこんな毛まで好きになっちゃったの私。


 お風呂の中でさっきなんで急に悲しくなったか考えてた。私一人ではしゃぎ過ぎてるんじゃないかって思い始めてきたの。よく考えたら彼が私にキスしたのだって挨拶がわりだったかもしれない。サバンナではそれが当たり前のことなのかもしれない。確かに彼が私に好意を抱いているのはわかるんだけど、彼が私を好きなのかどうかは別の話だし、仮に私を好きになったとしても一時の感情でそう思っただけかもしれない。


 やっぱり一人ぼっちで公園を彷徨ってる時に、モデル顔でセクシーボディでツルンツルンのお肌をしてる女の子が突然現れて親切にしてくれたら、男なら誰だって私のことを好きになっちゃうわけじゃない!と私は自分のセクシーボディでツルンツルンのお肌をした体を見ながらそう思ったの。彼だってきっとそう。一時の感情に振り回されてるだけなのよ。そうしてその感情に振り回されて彼は家族のためにバナナ代を稼ぐことを忘れて堕落してしまうのよ。




〈次ページへ〉




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る