19 残光

 夕日が沈む頃になって、ようやく『彼女』は目を覚ます。

 角灯の中で大きく伸びをし、夕日の残滓を纏って嬉しそうに笑う。

『今日は良い天気だったわね。おかげでたっぷり力を溜め込めたわ』

「そいつは上々。今夜はお前さんだけが頼りだからな」

 本日の獲物は闇夜茸。新月の夜のみ採取できる希少な一品だ。

『任せといて! 一晩中だって輝き続けてみせるから』

 胸を張る彼女に、わざと険しい顔を作る。

「やめろ。そんなことしたらお前が消えちまうよ」

 どうも前の契約者との間で何かあったようだが、少なくとも俺は、意味もなく契約精霊を酷使したりはしない。そんなことで、大切な相棒を失うわけにはいかないのだ。

『冗談よ。光ある限り、そばにいるわ』

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