もしもわたしが

もしもわたしが獣なら

この大空に 憧れる

大地を遥かに見下ろして

翼広げて 悠々と


もしもわたしが鳥ならば

海を見つめて 願うでしょう

遥かに青い海の底

神秘の世界で ゆらゆらと


もしもわたしが魚なら

大地を駆ける夢を見る

力の限り地を蹴って

地平線まで 遥々はるばる


わたしがヒトであるならば

わたしは何を望むでしょう

雲を見下ろし

深海を知り

大地を駆ける ヒトならば


***


ある時、私は思いました。

大空を羽ばたきたい。鳥のように、自由であればいいのに。


ある時、私は思いました。

海の底で揺らめいていたい。深海魚のように、静黙でいられたらいいのに。


ある時、私は思いました。

大地をどこまでも駆けていきたい。獣のように、力強くあればいいのに。


ある時、私は気付きました。

私は、鳥よりも高い空を見たことがある。

魚が語らぬ、海の底を知っている。

私は本当は、この大地をどこまでも駆けてゆける。


私は、本当は…。


それでも。

時として、自分ではないものに、憧れは募るのですが。






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