旅人の唄

泥にまみれた重たい体

先の見えない遥かな旅

新たな一歩を踏み出せず

崩れ落ちゆく

旅人は



絶望は

優しい顔をしている


何も心配することは無い

お眠りなさい この腕で


麗しい声でささや


希望は

厳しい顔をしている


決して手を差しのべはしない

黙ってこちらを見ている


お前はどうするのだ と



心に浮かぶ

あなたの面影

心に響く

あなたの声


天の恵みの通り雨

渇いた喉を潤して

旅人はまた歩き出す


片手に絶望

片手に希望

二人のともを道連れに


遥かな道を 一歩ずつ


***


かつて、言われた言葉があります。


「相手がどんなに引き算しても、こっちは足し算し続けるんだよ。そうすれば、マイナスにはならないから」


私は、この言葉にずっと支えられてきたように思います。


パンドラの箱。

私たちに、最後に残されたもの。


絶望は、あまりに容易い。

それでも。


遥かな道を、一歩ずつ。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る