波紋

言葉のつぶてを投げ入れて

あなたはさっさと立ち去った

心の波紋をとどめよと

手で抑えれば小波さざなみ

なおさら水面を揺らすだけ


弾き返せばいいかしら

凍てつく方が楽かしら

水に流せぬ私だけ

大人のフリもできぬまま


礫は今頃 どこかしら

心の底に いるかしら

魚の棲みかに なるかしら

私に還ってゆくかしら


何も感じぬ心より

波紋がある方がいいかしら

礫も何かになるかしら

いつかは楽になるかしら

それとも変わらぬままかしら


***


他人の些細な一言に、いつまでも、思い悩むことがあります。


なんで、あんなこと言うんだろ…

私が、何か言ったかな?

あの人、何かあったかな…

次に会ったら、どう言おう?


切り替えて、次!とは、なかなかいかないのです。

いっそ、とことんやり合えば。

いっそ、「あの人は仕方ないから」と最初から取り合わなければ。

みんな、さらりと笑って生きているのに。

私だけ、こどもの頃のまま、ぐずぐずと。


仕方ないので、「何がひっかかったのかな?」と考えていくと、結局は、自分に行き着いたりもします。

言葉の礫はいつか、私の中に還っていくかしら。


静かな湖面のような心に、憧れるけれど。

揺れ動くのもまた、心を持った人間だから、でしょうか。

礫を呑み込んで、自分に還していくうちに、心は変わっていくでしょうか。

それともやっぱり、波紋が広がり続けるまま、生きていくのかしら。





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