第2話
「はい、結斗お兄ちゃんですよ·····ん?」
な、なんだこの子。なにこれかわいい。
見た目からして推定中学生か背の低めな高校生かな?縦ツインテで顔は猫みたいで少し幼めでかわいい。バッグをぎゅってにぎってる仕草もかわいい。
しかしなんで僕の名前を知っているんだろう。
「おい、いつまでぼーっとしてんだよ。この子困ってるじゃないか」
「あぁ、ごめん」
「えっと·····」
「たしかに僕は結斗だけど、どこかで会ったことあるかな?」
「私は、雪音お姉ちゃんの妹です」
雪音、雪音、どこかで聞いたことがあるんだけど·····
「えっ!?雪音ってまさか大塚雪音!?」
「おっ、元彼女とかか?」
「そんなんじゃねーよ、まだ小学生になるよりも前の頃に家が近くでよく遊んでいた同い年の子だよ。小学校入学前に引っ越したんだけど、戻ってきたのか」
というか、雪音に妹なんていたっけ?少なくとも僕は雪音の妹に会ったことがない。
「今何年生?」
「次の始業式で中学2年になります」
ん?僕と雪音は同い年だから、2つ下ってことになるよね。ならあったことくらいあるだろうに全く記憶にない。
「あっ、すみません。正確には雪音お姉ちゃんの義妹、義理の妹です」
あぁ、なるほど。義理の妹だったのか。それなら会ったことがないのもうなずける。が、いいなぁ雪音。義理の妹だなんて。
「ねぇ、君、名前は?」
「あ、すみません。まだ自己紹介をしていませんでした。私は大塚天音です。天音と呼んでもらって問題ありません。えっと、あなたは·····」
「俺は中矢健だ。この結斗お兄ちゃんの友達だ」
「健、結斗お兄ちゃんはやめろ」
「へーへー」
「天音ちゃん、義理の妹らしいけど、僕の事はどうやって知ったの?って、雪音から聞いたのか」
「結斗お兄ちゃんのことはお姉ちゃんの部屋にあったアルバムで知りました。大掃除の手伝いをしていた時です」
あー、アルバムか。なるほどね。
「そして、先月、結斗お兄ちゃんが住んでいる所の近くに引っ越してきて、この近くに住むになりました。これ、お姉ちゃんからの届け物です」
手紙と紙袋。なんだろう。
『よっ、元気かー?
これを結斗が読んでいるということは引っ越しとかはしてないってことだね。久しぶり。私のこと覚えてるかな?またこっちで住むことになったからよろしくー!
あ、そうそう、結斗は高校どこに行くの?私はね、神野高校だよ。もしも一緒ならまた学校でもよろしくな!
っと、本題に入ろうか。いや、今までも本題なんだがね、この手紙を読んでいるなら、天音にはもう会ったよね?
あの子、色々あって友達がいなくてさ、それに加えて中2という微妙なタイミングで引っ越しになっちゃったから、余計に1人になりやすくて寂しいと思うんだ。ま、まだ学校は始まってないけどね。それで、私の部屋にあったアルバムに写ってた結斗を見かけて結斗の事色々聞いていたから、結斗の事を兄みたいに思っているんだと思う。仲良くしてやってくれんか?久しぶりに会ったばかりでこんな事頼むのも図々しいかもしれないけど、頼まれてくれるとありがたい。
あっ、まだ会ってないな。これ手紙だったわ。
じゃあ、またね
雪音』
SNSのメッセージかと勘違いしてしまう程手紙感が薄いなぁとか思いつつ読んだ。
雪音、お願いについてだが、勿論OKだ。こんなかわいい子と仲良くしたいに決まってるじゃないか。しかし、近くに引っ越してきたのか。今度久しぶりに会ってみたいな。
「えっと、紙袋の方は·····」
お菓子が入っている。引っ越しの挨拶とかでよくある『つまらないものですが』と言いながら渡しているあれか。
「ありがとう。あ、そうだ今から家に来てこれ食べていく?健も」
「おっ、いいのか?じゃあ行かせてもらうわ」
「ほ、本当に良いんですか······?」
「あぁ、良いよ」
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