第2話
眩い光が目の前を真っ白に染めた
それから数分の沈黙があり何も変わらないいつものリビングが現れた
のんびり水面をぷかぷかと浮いているカオスに音を立てずにペタンと座り込んでいる少女の姿があった
「なにが起きたんだ」僕は何から何までその少女に聞きたいのを我慢し何をしようとしてたのかを聞いた。少女はぶつぶつ何かを言った後に「あの子が言うことを聞かないなんて」と僕のことを睨んだ
「君はいったん何者なんだ?」と中山は痺れを切らしたように少し強めの口調で言うと少女は睨むのをやめ不満げに口をとんがらせ動かし始めた
「私はナディア。この星の言葉で、宇宙人」
「宇宙人!?何を言うと思えば……」
「私……話した。そっちの番」中山の言葉を遮るようにナディアを名乗る少女(宇宙人)は言った
中山は自分の名を言った後にカオスの夜の餌やりのことを思い出し冷蔵庫からマグロの切り身を持ってきた
「やっぱり、飼われているのね。この子は」
中山の手に乗ったマグロの切り身を一切れ奪うとナディアは口をつけた
「特殊な毒とかは、入ってない。それならなぜ?……」もう一度手をつけようとしたところで中山は切り身を上へと持ち上げて「そんなに食べたいなら持ってきてやる」と言いカオスの水槽に丁寧に一切れずつ入れ冷蔵庫から自分が食べるようだったマグロの切り身を醤油差しと共にナディアの前へと出した。ナディアは少し警戒をしながら「本当にこの星の人は平和ボケしてる」ポツリと呟きマグロの切り身を食べた
「それでさ、宇宙人とか、あの子ってカオスのこと?よくわかんないのだけど」と中山がナディアに問いかけるとナディアは口にマグロを器用に付けたまま話した
「私たちはここから遠くにある銀河からやってきた宇宙人。この星には侵略しにきたの。この星ほど私たちに適した環境はないから奪いに来た」淡々と語るその口調はマグロを口につけたままでも何故か圧倒された
「あの子は、私たちが星を侵略する時に使う生き物。名前をアラルトル……今はそんな面影もない。平和ボケしたこの星と同じようになってる」美味しそうにマグロを食べているカオスを見てナディアは言って続けた「きっともう間に合わない。この星は別の宇宙人に侵略される」とふとBGMのように使っていたテレビから緊急のニュースが飛び込んできた
「太平洋側の海に巨大生物が発生しました!直ちに海から離れ命を守る行動をしてください!……政府が発表した声明によりますと……」キャスターが無言になりゆっくりと震えた声で伝えた「諦めずに生き延びましょう」テレビは見えなくなった
中山の心臓は大きく跳ねた。恐怖と不安が全身を支配して息ができないくらい体が震え始めた
「もう来たの。本当は今頃、私たちが侵略してるはずなのに」そう淡々と答えたナディアにわらにもすがる思いで肩を掴んだ
「無理。あの子は私の命令を聞かなかった。私はあの子を怪獣化させることができない。それに私が侵略するか、他の宇宙人が侵略するかそれしか変わらない」と言い中山をじっと見た。
「あの!緑色のやつ!もう一度やってくれよ!」
「だから……そんなにも言うなら」ナディアはどこからか緑色の球を取り出し中山に渡した
「これは、あの子のエネルギー体。それを通してあの子に命令するの」中山は緑色の球を手に抱えて水槽の中でマグロを食べてご満悦なカオスに言った
「助けてくれ!僕と君とじゃ出会って間もないけど……この星を侵略しに来たというけど助けてくれないか?カオス」そう言った。もしかしたから怪獣化させることで今度はかわりにカオスがとか、そんないろいろな考えがよぎったがそれらを吹き飛ばすようにカオスは力強く「ピャー」と鳴き、緑色の球は一人でに光り始めた
それからは、あまり覚えていない
ただ復旧したニュースでは、黒い巨大な生物が海から上がってきた生物を倒して食べたと報道されていた
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます