若者たちのその後その5
バグダを警戒する大人たちの都合である役所の情報部門に半ば強制的に軟禁されたバグダ、さぞかし不満が溜まっているのでしょうか?
実は彼自身はあまり気にしていませんでした。
普通の神経を持つ人の場合、恐らく自分が疑われ警戒されていることに不満と不安を抱えるものですが、彼自身はあまり気にならなかったようです。
頭の中でそういう感情が渦巻いていることを認識はしていたようですが、それが彼の感情に影響を及ぼすことはありませんでした。
むしろ、安全な場所に隔離されたと思えば儲けものという思考が働いたようです。
バグダは多くの奇想天外な策を思いつき、実行しましたが、それで彼に恨みを持つ者はほとんどいませんでした。
何故なら、その策の発案者がバグダだと気づいた敵側の人間はほとんどいなかったのです。
策というのはこれ見よがしに発表するものではありません。
目的と手段を認識し、それを実現すればそれで良いのです。
バグダには功名心とかその手の自尊心はありませんでした。
ある意味子供のように純粋で無垢だったのです。
その結果、自分を危険にさらすような足跡を残さずに策を成功させることが出来たのです。
それと、この手の策をコウメイと共同で実行していたために、そうした視線がコウメイに集中してバグダまで届かない、コウメイが被害担当艦の役割を果たしていました。
とにかく安全な場所で、これからも情報を仕入れつつあれこれ考えて、可能なら実行できるというのは彼にとってとても好ましい環境でした。
彼の策の多くはコウメイや他の仲間の手柄となりましたが、それによってバグダに対する警戒は少しづつ解けていくことになります。
結果、彼は自由と沢山の情報と比較的好き放題出来る職場と仲間を沢山得ることになりました。
出世に興味がない彼は高い地位につくことはありませんでしたが、彼の発言力は時に役所のトップを凌駕することもありました。
何故なら、彼の仲間や部下たちの中で出世した多くの者たちが彼のアドバイスを重用し、同時に彼を大事にするように訓令と圧力をかけていたからです。
こうして、バグダを含む若手6人組はガチスやデンゲルの魔の手から逃れ自分たちの道を切り開き、それぞれの人生を謳歌したのでした。(外伝終わり)
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