さらばデンゲル人テレスと仲間たちその7

さて、テレスたちデンゲル人がひだまりの国から祖国へ帰国し、その能力を生かす場を作る話し合いは大体まとまりました。

しかし、最後に最大の問題について話し合う必要があります。


実はすでに一部話題にはなっていましたが、今度はデンゲルの過去の歴史と今の実情を踏まえて考えなければならない事でした。


それはズバリ「デンゲル人のひだまりの国と民に対するヘイト」でした。

以前も説明した通り、これは相当根深い問題でした。

なぜなら、まずデンゲル国の憲法でひだまりの国は悪であり、その悪を打ち倒したことがデンゲル国の国家の証である、などという前文があります。


次に教育やメディアなどでひだまりの国と民を叩くのはばい菌や害虫をやっつける感覚で洗脳していました。

今回の内戦で、その憲法もメディアや教育システムもとりあえずマヒしました。


これ自体はひだまりにとってもテレスたちにとっても大歓迎の事態でした。

しかし、長年の伝統を簡単に捨てることが出来るほど人間は便利にできていません。

テレスたちは政府に参加したら、まずこの悪癖と戦う必要がありました。


この話題になった時、いつもはフランクなコウメイも何考えているか分からないバグダも表情が引き締まりました。

それほど難しく、そしてひだまりとデンゲルの未来のために大事なテーマだったのです。


まず、今起きている問題について話し合いました。

その中で同意した意見として「相手の民族に過度の干渉をしないこと!」それと「相互主義の順守」というのが出ました。


まず、デンゲルとひだまりの民が仲が悪いのは公然たる事実ですが、これはお互いが言葉などで表現してしまうからこそ起きる現象です。

表現の禁止まではさすがに無理ですが、火が付かないようにお互いが気をつけるというアイデアを尊重することにしました。


もう一つは、ヘイトに関する法律をひだまりであれ、デンゲルであれ施行する時には相手も同じ性質の法律を制定するように意識すること!すなわち相互主義を尊重するということです。


これは外交の基本ですが、片方にのみハンデを与えるのは公平ではありません。

それは法律も同じことです。

他にもいろいろ話題と話し合いは続きましたが3人だけの内々の話しなので決めごとは少ない方がよいとお互い納得しました。


さて、次回はテレスたちの旅立ち前のお話です。


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