メディア改革その13
メディア界における元スパイ勢力と、残存スパイ勢力の激戦がお茶の間のテレビや新聞にも表面化しました。
元スパイの裏切り司会者たちはガチスやデンゲルの金品、女性スキャンダル、あるいは疑惑の暴力事件や政治家、財界人、さらに芸能人との交友を、おどろおどろしい音楽と共にこれでもかという勢いで暴露していきました。
なにしろ、元々彼らの多くにとって公然たる事実で、長い間放置されていたことでしたから、ニュースの質も量も十分あります。
バグダやコウメイが用意していた疑惑の情報と違い、基本的には事実でしたからお茶の間のインパクトは数倍大きかったのです。
そして、現存スパイ勢力であるメディアの著名な者たちは社会人失格、犯罪者、そして国に対する裏切り者として世間から急激に認知されていきました。
皮肉なことに、かつてガチスやデンゲルが情報操作と介入をしていた時には好感度のベストテンなどで高い地位にいた人も多くいましたが、やはり人気というのは水物ということなのでしょう。
学校に行く普通の子供たちの間でもその悪名は噂されるようになりました。
しかし、ここまで追い詰められてしまうと現存スパイ勢力は手負いの虎のごとき状態にありました。
彼らは普段、無抵抗だの話し合いだの、説明責任だのと理想的なきれいごとをテレビや新聞などでコメントしていましたが、もう彼らの言葉を聞く者はほとんどいません。
そして、彼ら自身もそれらがガチスやデンゲルがひだまりの民を管理、支配するための方法として用いていたことを良く知っていました。
だから、彼らは別の方法でかつての仲間に攻撃を仕掛けました。
その方法の一つは「自爆的内部告発」です。
これは今まで司会者たちが外国勢力との汚い関係を散々報道した事への報復として、批判した彼らも自分たちと同じ穴のムジナであることを公にしたのです。
この時用いられた媒体は主に新聞の社説や読者投稿欄でした。
既にテレビの方はひだまり派が勢力を確保していたため、報道枠が取れなかったことと、外国の残存勢力がまだ新聞の記事の編成に影響を与える力をかろうじて持っていたからです。
こうして、泥仕合の様相を呈してきましたが、もちろんこんな中途半端な所では終わりませんでした。
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