メディア改革その12

コウメイとバグダの対外国スパイであるひだまり人に対する計略もついに大詰めに迫ってきました。

いままで思い返すと、敵同士を偽の情報で疑心暗鬼にしたり、敵味方問わず怪しい情報を流して敵の動きを止めたりといった細工を行ってきました。


今回の計略も方向性としては同じです。

ただし、今までは小手先の情報で相手を惑わしていましたが、今回は相手の感情を最大限逆なでするという点で今までとは大きく意味が異なりました。


元外国のスパイで、時流に上手く乗って自分たちの安全と繁栄を確立しようとする者たちは、まさに勝馬に乗ってかつての仲間を叩きます。

いわば、今までの偽情報と違い自信をもって歩んでいる感じです。


その行動に迷いはなく、人を叩くことが得意な彼らの能力を最大限に生かす方法でした。

そして、コウメイもテレスもそうしたいいとこどりの彼らをこのまま自分たちと同じ勝ち組に入れる気はさらさらありませんでした。


ゆえにいまだにガチスやデンゲルに忠誠を捧げる人々に対して、このかつての同志たちの動きや弱点をSNSや匿名の他の方法などで流したきつけていきました。

すでにお金も女性のあてがいもない中、スパイの数は激減していましたが、中にはガチスやデンゲルの教育的プロパガンダを真面目に信じるひだまりの民もいました。


そして、既に国内で敗勢色濃く、巻き返しが不可能と思えた彼らが唯一一矢報いることが出来るのが、かつての仲間であり、裏切り者として今は自分たちを攻撃している「元スパイ」の連中でした。


もう、この状況がひだまり派のコウメイやバグダの計略であることなどどうでもよかったのです。

彼らにとっては裏切り者を引きずり下ろす事だけが実現可能な目標でした。


以前、「蟲毒」こどくの話をしました。

ツボの中にいろんな毒虫を入れて最後の一匹になるまで減らす、これ自体は最後の、そして最強の一匹を得るための儀式でしたが、一方で沢山の毒虫が死ぬことを意味していました。


ある意味、ガチスやデンゲル派のスパイだった者同士が互いの生存権と憎しみをもって全力で争う構図は「蟲毒」のようなものなのかもしれません。

次回、その後の成り行きをお話したいと思います。

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