メディア改革その5
外国であるガチスとデンゲルの影響が極度に薄れ、ソーラー連邦と自国のひだまり派の勢力が強まる中、頑固なメディアの連中が急に心を入れ替えるというのは現実的ではありませんでした。
彼らの多くはひだまりの民を見下し、自分たちこそがエリートであると稚拙な論理で振舞っていたピエロでした。
そのピエロが今日まで威勢よく振舞っていたのは、ガチスとデンゲルの思想と影響力と資金力によるものでした。
ゆえにそれらがなくなった時に、まるで信仰の対象を失った哀れな信者のような者たちも大勢現れました。
それは彼らの報道からも見て取れます。
今までガチスやデンゲルのプロパガンダとひだまりの民に対するサディスティックな感情からくる偏向報道がやみました。
その代わりに事実を淡々と伝える報道や、毒気の抜けた無味乾燥したニュースが多くなりました。
もちろんガチスやデンゲルについてのことも触れる機会はありましたが、以前のようなプロパガンダはなく、かといって今までの流れを考えると急にネガティブな報道を流す勇気もありませんでした。
この時期のガチスは戦争や政治、経済の混乱によって暗い雰囲気が国全体に漂っていました。
しかし、そうした報道は腫物を触る程度のもので事の重要性を考えると明らかに控えめでした。
デンゲルについても、かつて国レベルで賞讃し、隙があれば「ひだまりもデンゲルを見習え」と説教を垂れていたコメンテーターたちはすっかり大人しくなりました。
たまに何かぶつぶつ話すのですが、その内容は支離滅裂で自信のなさと精気のなさを画面いっぱいに表現するだけでした。
メディアの動きを簡単にまとめるなら、今が自分たちに都合の悪い展開なのは骨身に沁みて分かっている、でも現実を受け入れる勇気も柔軟性もない、現実逃避した老人たちの集まり・・・
そのようなお通夜のような番組や新聞記事が並んでいました。
しかし、かつてガチスやデンゲルにひどい目にあわされた人々、コウメイたちはそのような甘えを許すつもりはありません。
また国際情勢もそれを容認する空気ではありませんでした。
まだまだメディアのお仕置きは始まってもいませんでした。
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