テレスの想い
テレスは自分の提案、つまりひだまりの民で反ひだまり派、デンゲル派、ガチス派の説得に自分が参加したいと述べた時、邪念などはありませんでした。
彼の視点から見ればすでに勢いを失っているガチスやデンゲルに付くひだまりの人々をこちら側に寄せようという考えであり、今の時点でもデンゲルについている者であればひだまりの人間が説得するよりデンゲル人の方が効く耳を持っているのではないかというごく当たり前の考えでした。
つまりこの提案をした時点では後にひだまりを裏切るとかいった邪念などなく、ただ目の前の問題をより良い形で解決したい、ただそれだけでした。
しかし、コウメイとヒキコモリーヌが不自然な動きを見せた時、違和感を感じました。
なにか不味い話をしたのだろうか?と。
そして会議が終わってからテレスは考えました。
最初は全く心当たりがなく、見えない敵を探すかのような不快で不安な気持ちを抱いていました。
長い思考の末、テレスは彼なりの推測を見つけることが出来ました。
デンゲルが政治家や財界人にコネを持ち続けること自体が不快で、一度可能な限りひだまり派に統合したいのではないか?
まさか?とは思いましたが、ひだまり派の立場からすれば今までのガチスやデンゲルの仕打ちを考えると自然な発想だとその点は納得しました。
しかし、テレスも人間です。
「今まで同胞と戦い、ひだまりの為にも頑張ってきたのにまだ信用されていないのか?悔しい」
テレスは小さくつぶやきました。
しかし、テレスは知性の人です。
やはり、民族が違う、争点がある、という厳然たる事実を考えるとやはりこうした事は起きても仕方がないと考えるようになりました。
それに今でこそ歴戦を共にした仲間とはいえ、コウメイがテレスの同胞のデンゲル人からひどい目にあわされた話を彼は知っています。
そして、今なおデンゲルの大多数の国民がひだまりに怨念と差別の念を持っているのもまた事実です。
テレスは冷静にその点を考え、ひだまりの仲間たちの出方を見て、考え発言しようと思いをまとめました。
歴戦の仲間同士、しかし民族が違う者たちが勝利を前にして再び話し合うことになります。
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