デンゲル混乱

デンゲルの国論は真っ二つに分かれました。

常識的な視野で見るなら宰相派と反宰相派で分かれたと言えます。


しかしデンゲルの宰相の頭の中ではガチス派とソーラー派に分かれたという認識でした。

「国家報道監視法」を出した時点で宰相の腹の中は決まっていました。

何とかデンゲルをガチス側に立たせようという一心です。


しかし、宰相自身が大いに煽った「デンゲル主義」によってそれは極めて困難な事態になりました。

こうなってくると、一部の狂信的かつ余裕のあるデンゲル人を除き、反ひだまりにかまけているデンゲル人はいなくなりました。


面白いもので、人の集団というのは新しい争乱が起きるとそれに飛びつく習性があります。

とりわけデンゲル人はその影響が強く、反ひだまりで固まっていた世論は吹き飛んでしまい、もはやデンゲル国内の派閥争いに興味が集中していました。


また、デンゲル人はひだまりの民に限らず、他人に厳しく自分に優しいという傾向がとても強烈であったために次の標的として宰相に目を付けたものたちが多くなる傾向にありました。


日に日に不利になる状況を見て、デンゲルの宰相はガチスにどうしたらいいか泣きの相談をすることになります。

しかし、ガチスもソーラーとの紛争でエネルギーを使い果たしており、無能な味方に割くエネルギーを惜しんでいる状態でした。


そんな状態でしたが、反宰相派も何か新しいビジョンや政策を持っているわけではありません。

その主張は主に宰相に対する反対ばかりで、ありていに申せば「責任転嫁」でした。


こうして、デンゲル国内は世論の分裂によりグダグダになりました。

安全保障の面でデンゲルと親密なソーラー連邦も、この状態には持て余していたようで、軍事的な準備をしつつも、内政には直接関わらない方針を取ることにしました。


ひだまりという他国に多大な干渉と影響を与えていたデンゲルですが、いざ自分たちが混乱の元となると、あまりにもあっけなく国のまとまりが崩れてしまいました。

やはり、責任転嫁と他国への憎しみだけで国家を運営するのは難しいということかもしれませんね。


次回はひだまりに戻り、デンゲルとは異なる未来について説明したいと思います。

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