かつ丼さくせん その4

さて、デンゲル人テレスとその仲間達によるSNS戦はすさまじい言葉の嵐(荒らし)となりました。


以前述べた通り、デンゲル人の荒い気質とSNS上でのデンゲル人の言論での優位な立場が微動だにしなかった障碍者クラスタの結束を動揺させました。


これは余談ですが、昔、新約聖書の時代にパウロという人物がいました。

当時のキリスト教は異端とされていて、それについて公で話すと、地元の実力者や治安担当者に厳しく詮議されて殺されることも珍しいことではありませんでした。


そうした時代にパウロはローマ帝国のかなり広大な地域で宣教活動をすることができました。

なぜ、それが可能だったのか。


聖書の中にはパウロが異国民のために神の選ばれし器として用いられた、つまり神のご加護があったと説明しています。


でも、それだけではなく彼がローマ市民権という権利を持っていたことにも触れています。

これは一言でいえば上級国民、厚く保護された権利であり生半可な覚悟では侵害できない権利でした。


その為、他のキリスト教徒がどんどん投獄、処刑される中でもパウロは比較的安全に長い期間宣教活動を行うことが出来ました。

(なおパウロの最後は伝承によると処刑とされていて、この権利が万能ではなかったことを歴史は示唆しています)


つまり、ひだまりの民の法律やSNSの規定の中でもデンゲル人は自由に表現をすることが許されていました。


これは、今まで同じようにSNSで手厚く保護されていた障碍者クラスタにとって初の「同じ土俵に立った相手」だったために今までと勝手が違ったために完全に意表を突かれた形となったのです。


こうして、障碍者クラスタは今までにない緊張感を抱くことになりました。

今までは自分達が弱い立場だと主張することで相手も引き下がることが多く、その経験があってある意味安心していたところがありました。


しかし、こうして今までにない形で厳しい言葉を飽和的に突き付けられたことで皆がつらく苦しい思いを抱くようになったのです。


そして、不安な状況になった時に今度はカツ丼さくせんとてんぷらさくせんが発動することとなりました。


その話は次回紹介します。


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