若者達による情報戦作戦案2

SNSやメディアによる情報戦というのは、古代の戦争によく似ています。

現代の戦争であれば、核兵器をはじめ大量破壊兵器やハイテク化された兵器の能力により数の劣勢を覆すことが出来ます。


失礼な言い方ですが、かつて第一次世界大戦後にドイツ皇帝だったウィルヘルム2世が言うような「孫子」を読んでいれば戦に勝ったという時代ではありませんでした。


ひだまりの国はかつて戦争をし、敗れましたがその時も数の劣勢を兵器の性能で補うように努力しました。

あと精神力ですが、まあこれは本題に関係ないので置いておきましょう。


戦争に負け、戦うということから離れた上に上記のように人によらない兵器に頼った経験と知識を積み重ねたひだまりの民にとって最も現代的であり最も古代に近い情報戦はとても苦手でした。


まず第一に人と人の間の情報のやり取りの戦いですから物量が物をいいます。

白い物を見ても大多数が黒と断言すれば黒に見えてきます。


学校などのクラスでの話し合いの時にみんなが同じ意見の時反対するのがどれだけ大変か、また多数をひっくりかえすのがどれだけ難儀か想像するとピンとくると思います。


次に情報戦とはいくさです。


学術論争でもなければディベートでもなくスポーツでもないのです。

相手に自分の言い分を飲ませれば勝ちというゲームであり、ルール違反もバレなければいいし、バレてもペナルティより戦果の方が多ければ結果オーライです。


ひだまりの民の多くは科学的思考やルールを守ること、正しいことに価値を見出していましたが、これらは情報戦では足かせになる場合もありました。


正しいとか合理的ということよりも孫子のような人間の汚さや泥臭さと言った本質部分を理解することが勝利の鍵でした。


しかも、孫子の時代にも最新武器という概念自体はあり、AIという最新武器で味方を効率的に配置し、ひだまりの民を分析してその弱点を突く、どの要素をとってもひだまりの民に勝算はない。


これが6人組を含むひだまり側の主要人物達の最初の感想でした。

しかし、もし負けたらどうなるか。


既にガチスはある地域においては軍事的恫喝を行いながら情報戦で民衆を屈服させ、議会を掌握していました。


別の地域では隙あれば軍事行動による制圧の可能性を露骨に表明しています。

そして、反体制勢力はファシズム教育を行う収容所行か処刑が待っていました。

それが学生や女こどもでも容赦がないことは既に各種報道で知らされていたので彼らには逃げ道はなかったのです。


ここから先も彼らの真剣な思考の軌跡を追っていきます。


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