6人組の生き残り戦略
前の話で紹介した6人組についてさらに情報を追加します。
彼らは同じ学校に通っており、その学校はとても有名で優秀な評判のある私立校でした。
さて、彼らが自分達の状況を戦争と捉えた話をしました。
一見すると大げさに思えるかもしれませんが、彼らはカリン事件を直接、あるいは間接的によく知っていました。
ひだまりを牛耳る巨大組織が罪もない少女を誘拐し、しかも裁判では明らかに忖度した判決を見せられています。
そして、その後には大規模な報復をも目の当たりにしました。
この恐怖は例え銃弾や兵器の音や衝撃を知らなくても、いやなまじ表向きは見えも聞こえもしない恐怖なだけに想像力を働かせるには十分な恐怖でした。
彼らが相談をしたあと、真っ先に行ったのはSNSで自分達の話題を出来るだけ遠ざけるように誘導することでした。
これは主にマーズとバグダが担当しました。
具体的な方法として、まずマーズが6人組のことを頻繁に取り上げる存在を見つけます。
そのあと、バグダが対象となる人に今後6人組を取り上げないようにというコメントを送るという方法でした。
ここで注目すべきはバグダの方法です。
彼は相手に応じて、自分をカリン派、愉快犯、旧体制派、中立的な善人、といろんな人物になり切ったつもりで何人ものアカウントを作成しました。
その上で、ある時は6人組は旧体制派の回し者だから応援するなと言い、ある時は運営に通報するぞと脅し、ある時は旧体制派に刃向うことの恐怖を伝え、ある時は他の重要な課題があるはずだと問題をそらしと様々な表現を使い分けました。
こうすることで目的の自分達の存在を希薄化させることを行いながら、同時にこの工作がばれたり目立たないように細工をしたのです。
しかも、前もってガイドラインやトラブルの起きた事例について調査をしたので足がつくようなヘマはしませんでした。
こうして、まずは自分達の存在を世の中から希薄化させて、危険性を下げることに成功しました。
しかし、これはあくまで応急措置で長期的な解決策ではありませんでした。
彼ら一人一人は優秀な部類の人物達でしたがしょせんは学生です。
正直心細く、なにか頼りになる存在が欲しいと考えていました。
とはいえ、旧体制に目をつけられたのは間違いがないので、うかつに動けません。
彼らは自分達の置かれた立場と社会全体について考察することにしました。
次回は文字通り必死に考えた彼らの考察を見ていくことにします。
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