テレビ放映戦国大名総選挙その30 豊臣秀吉

秀吉 (NHK大河ドラマ)、1996年に放映され、平均視聴率30.5%、最高視聴率は37.4%という高視聴率を上げました。


実はこれ以降大河ドラマで30%越える回は無くなったそうです。

つまり、大河ドラマ最後の絶頂期という秀吉らしい作品となりました。


竹中直人さんが主演の秀吉を演じ、準主役と言っていい弟秀長役に高嶋政伸さんをキャストして終始メリハリのあるドラマとなりました。


特筆すべきは織田信長役で出演した、今は亡き渡哲也さんです。

若い時の信長を演じるにはきつい年齢でしたが、それを圧倒的な存在感でカバーしました。


事実、彼が登場した前半の視聴率の方が、彼が退場した後の視聴率よりも明らかに高い傾向を示しました。


一般的には終盤に行くほど視聴率は高くなる傾向が強いので、いかに渡さんの演技が見たい視聴者が多かったかが分かります。


この番組は秀吉の朝鮮出兵の失敗や甥の豊臣秀次とそれに連なる者達の処刑といった秀吉のマイナスイメージはあえて放映しませんでした。


それでも石川五右衛門の釜茹でや朝鮮出兵について触れるなど、以前の太陽のような曇りのない秀吉像とは異なる、より実像に近い秀吉を目指した点は大事な点だと思います。


昭和の時代には英雄たちは英雄として扱われ、悪役は悪役として扱われました。

しかし、日本の国力が落ち力を失い今までは強い所を強調していた歴史の人物達の描写に暗さや闇を描くことが普通になった時代へと変化しました。


ちなみに今年主役だった明智光秀ですが、この大河ドラマでも3人目の主人公扱いでとても良いイメージで描かれていました。


これもまた、時代の流れのようなものを感じます。

国が強いうちは迷いがなく、また善悪をはっきりさせる傾向が強くなります。


国が弱くなると弱い者の立場を理解したいという思考が強くなり、逆に強き者に対しての崇拝の念が弱くなってきます。


これは、どちらが正しい、間違っているという問題ではなくそういう傾向があるということです。


外国との歴史問題なども、こうした国力の変化とそれに伴う国民の知識や感情の変化が原因で起こることがよくあります。


この点で強調しておきたいのは、これは外国との個別の問題といった小さな話ではなく、外交や教育や軍事やメディアといった要素と密接に関りがあり、とても根深い問題であるということです。


豊臣秀吉は特にこの点で影響を強く受けたために昔と今では好感度も評価も大きく変わった人物であり、これからも変化していくことでしょう。


長きにわたり紹介した豊臣秀吉という人物、皆様はどのような感想を持たれたでしょうか。


答えは皆様のそれぞれの思いにあると私は考えています。










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