第256話 フウイのネット対策案(5)
NHKは強大な組織です。
その予算額、関わる人数、情報の影響力はもしかしたら日本一かもしれません。
インターネットを通じて批判的な意見も多く出ていますが、これほどの組織を何の勝算もなく潰すというのは現実的ではないとフウイは考えていました。
もし、どうしてもNHKを何とかしたいというのであれば、国会議員や地方議員の中でNHK問題に詳しい人に委託するのが、安全で近道だとフウイは実感していました。
とにかく、ネットの一般人たちに危険な思いをさせたくないのがフウイの本心でした。
それに、ネットの書き込みというのは車の免許のようにきちんと危険性を教えていません。
なので、これからの時代は書き込みは用心するに越したことがないと強く訴えていきました。
ある時、SNSでとある人物が彼曰く「〇国奴」の芸術家のことを強く罵り、フウイに同意を求めたことがありました。
その時フウイは即座に否定とその人物にすぐに考えを改めるように言いました。
誤解のないように言うとフウイはその頭に血が上った人物の発言を否定するつもりはありませんでした。
しかし、フウイが特大問題にしたのは彼がSNSという不特定多数が見ているところでわざわざ証拠を残したことでした。
フウイはその人物が本心で言っていることもある程度フウイを信用していることも理解していました。
それでも、もし彼が「おとり」のような存在で、フウイを、また彼と似た意見を持つ人を巻き込んだらどうなるか、それを想像すると彼は強い怒気という感情をもって返答をせざるを得なくなったのです。
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