第247話 ネットの中の蟲毒(1)

フウイはとある件で大ダメージをうけていました。

といっても例のウィルスの影響ではありません。

彼はインターネットのSNSで起きたある出来事について激怒し、大いに落胆したのでした。


ずいぶん前になりますが、フウイはとあるSNSで2万人近いフォロアーを持つ人と出会い、友好関係を持つに至りました。

その後、フウイがSNSの規約に引っかかったために連絡が取りづらくなりました。


それでも、フウイはいつかまた協力していけるという希望を持っていたのです。

所が、その勢力の一部が先鋭化してしまい、自分達とイデオロギーの点で敵対している某弁護士たちに対して攻撃的な言動を繰り返すようになりました。


もちろん、内容をここで厳密に書けば大事になるので、あくまで概要を書きますが、それは憎悪と犯罪をほのめかす表現でした。

そして、さらにヒートアップした彼らは弁護士たちに職を辞するように組織的な事務的手続きを取り始めました。


その運動に参加した人数は数千人、彼らは意気揚々と行動していきました。


「撃っていいのは撃たれる覚悟のある者だけだ!」インターネットで頻繁に登場するフレーズです。

インターネットで発せられた言葉は記録に残り取り消しが効かない場合が多々あります。


弁護士たちはこの事態に無抵抗ではいませんでした。

それどころかこの事態は彼らにとって格好の「狩場」となったのです。

これから、この数千人のまとまった集団と、せいぜい数人の弁護士たちの戦いが始まります。


大軍を擁する彼らを見て、フウイは吐き捨てるかのように、諦めきれないかのように、そして最後にあきらめたかのように小さな声で呟きました。

「【蟲毒】(こどく)の始まりだ。」

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