第222話 生活保護といろはの「ひ」その1

さて、前回紹介した負の所得税には多くのメリットがあります。

行政コストの削減、政策変更の簡素化、生活保護受給者および困窮した障碍者の精神的羞恥心の改善、その他いろいろありますが、その点はガミ公様にお任せすることにします。


「なぜ日本経済は絶対に破滅しないのか?」について宇宙戦艦ヤマトの世界観を使って、イヤになるほど説明する!」を御覧ください。


さて、ここで長年にわたり多くの人々の間で論争となり、今でも熱く、あるいはデリケートな問題があります。

それは「そもそも生活保護や障碍者の経済的救済は必要なのか」というものです。


わたしの文章としては珍しく結論を先に申し上げますが、「必要」というのが私の考えです。

ここで、日本国憲法にある健康で文化的な最低限度の生活についての記述や人道主義的な美辞麗句を並べてもいいのですが、それでは納得しない方もいると思います。


そこで、生活保護制度に不満な方や納得していない方にお話しするつもりで文章を書きたいと思います。

前の二つの章で扱ったように、こうした福祉政策は単なる人道主義的ではなく日本全体を考えての制度であると申し上げました。


逆の言い方をするとこの制度がないと日本にとって多大な損失が出るということです。

もし、生活保護制度が無くなるとどうなるか、私なりに未来図を提示します。


まず、今比較的平穏に住んでいる人々の生活が乱れます。

当然のことですが、今まで生活保護で生活していた人々は困窮し追い詰められ、一部の人々は盗みに走ったり、あるいはヤケになって道づれ犯罪を犯すことになります。


これは以前中国の歴史で扱ったように、やがて反政府的な無法者の集団を生むことになるでしょう。

そして、もしそれで国家が転覆などすれば一般の人々の精神的、経済的損失ははかり知れません。


そこまでいかなくても、刑務所に人があふれるようになればそのコストは国民が負担します。

ある試算によると生活保護費が一人頭月約10万円、それに対して刑務所で使われる費用は60万円といわれています。(医療費についてはどちらも同じと仮定する)


その負担は当然一般市民が負う訳です。

それならばいっそ○○して問題をなくしてしまえというナチス的な考え方を思い浮かべる方もいるかも知れません。


しかし、そのような優性思想を持った国家がまともな線引きが出来ると思うでしょうか。

恐らく、国の役に立たない者だけにとどまらず、権力者達に意にそわない者たちは亡き者にされるか、あるいは日夜その恐怖におびえる生活を送ることになるでしょう。


実のところ、消去法的な考え方ですが、生活保護というのは保護を受けた者だけではなく社会の成員の一人一人にとって安心やコストの点で優れているのです。


それと、生活保護者の精神を刺激しないことは結果的に犯罪率も低下することになります。(まあ、これは一般人もまったく同じことですが)

なので、内心不快は残るかもしれませんが、優れた考え方としてこうした見方を検討してほしいと思います。


それと、生活保護というのは、色々書類が面倒であったり、周りの親せきなどの目をきにしたりと誰でも簡単に受けられるものではありません。

また、病院に行くにも事前に申請をすることが原則であったり、行きつけの病院以外は原則いかないといった制約もあります。


さらに地域によっては車もNG,パチンコ、ギャンブル、株式もだめです。

借家であれば安い家賃の物件に済まないと保護費がでません。

さらにケースワーカーといわれる担当者が様子を観察するなどいろいろ制約があります。


次の章ではこの話の続きを書きたいと思います。






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