第69話 卑劣 デンゲル戦法

デンゲル人はなぜ軍師コウメイの父を毒牙にかけたのでしようか。

それは彼がお金と権力を持つようになったからです。デンゲル人はお金をかすめ取るのが大好きな種族です。なので、当時勢いのあった彼を標的にしました。


ではどの様な手段で彼を陥れたのでしょうか。

それはまず彼の大好きなお酒を使いました。


宴会好きで賑やか好きな彼の父親はデンゲル人とその時接触することになりました。ちなみにデンゲル人はひだまりの国の人と外見はあまり変わりません。

そうして、信頼関係を築いたところで商売の話をします。


それは大型の空気清浄機の話で市販の製品よりも明らかにぼったくりの値段で話を持ってきました。

しかし、宴会で気持ちが大きくなっていた彼はこの話を鵜呑みにしてしまいました。


こうしてしばらく建設の仕事を他の者に任せて彼は空気清浄機を売りましたがうまくいきません。

さすがの彼も不審に思いましたが今度は宴会中に女をあてがってきました。


こうして彼は酒と女によって自分の立ち位置を狂わられていきました。

この作戦の恐ろしいところは、周りの人たちが酒であれ女であれ彼を批判すると、その批判は彼の耳に疎ましく聞きたくないものとして捉えられ、ますます酒と女に引き寄せられるという悪循環を起こすことです。


軍師コウメイは父とはとても親密な関係に長年ありました。

はじめのうちは酒を控えるように、女に気を付けるように言い、父も笑いながらわかったわかったと応じていましたが仕事がうまくいかなくなるとだんだんと意見を聞かなくなりました。


そして彼の心に酒と女が侵食し、思考能力を奪ったとき、彼は実の息子軍師コウメイを敵と認識するようになりました。


デンゲル人は父と父の会社を乗っ取ることに成功しました。

会社の金はどんどんデンゲル人のもとに流れ会社はどんどん廃れていきました。古参の社員は言うべきことを言った後絶望のうちにやめてゆき、借金が山のように膨らんでゆきました。


家庭も父と母の関係はめちゃくちゃとなりついには母が父を包丁で刺し殺そうとさえしたのです。

このときそれは阻止されました。


なぜなら軍師コウメイが母親を後ろからひじうちして気絶させたからです。コウメイにとって初めての女性、それも母親に対する暴力でした。


この時は一時的に父の側に立ちましたが、コウメイは父の横暴を許す気は毛頭ありませんでした。

彼は父の融資先であった親せきのおこした会社に単独で向かい、会社の内容とこれ以上の融資をしないように強く説得しました。


始めは父親を信頼していたためにコウメイの言葉に耳を貸さなかった融資先でしたが、彼の熱意の本気さにうたれ、実情を調べることにしました。

その結果、融資は止まり、父の会社は倒産、そして父は逃亡し、コウメイとその家族の借金は融資先の会社が引き受けることで決着がつきました。


コウメイとデンゲル人とのこれが最初の関りでありこれが長き関りの始まりでもありました。


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