フウイの件で祭り之介は表向きは平然としていましたが、彼にも大きなダメージがありました。

人を善意の塊だと信じ、多くの人々を励まし、また励まされた彼にとってこうした妨害や悪意は希少な経験でした。

彼から見れば、この運動は南九州だけではなく日本全体を元気にする目的で行っているわけですから、邪魔をするという発想自体が理解できなかったのです。

ですが、現実としてそれは起き、フウイは傷つき祭り之介も躊躇せざるを得なくなりました。

その後フウイから島津いろは歌の一節が送られてきました。

意訳すると人を非難する言葉があるとき、２通りの意味があります。

一つは悪口、もう一つは欠点をいさめる諌言です。

どちらにしてもまずは心で受け止め、自分のためになるようによく考えて自省するといいですよ、という意味です。

また、別の言葉も送られてきました。

そこには道理や法が役に立たないダメな世の中であっても好き勝手に行動するのは良くないよ、と書かれていました。

ここで、切れたり感情を乱してはいけない、祭り之介は心を穏やかにして深呼吸をしました。

ただ、今までのペースでことを行えば必ず妨害が入ることを祭り之介は学びました。

これからは慎重に、たとえペースが遅くなろうが勢いが衰えようがまずは自分の足で自信をもって歩む、そのことが大事だと彼は思い直しました。

さて、前の章でコモロウは祭り之介に小説の路線変更について相談することを決めていましたが、この後どのような話になるのでしょうか。

それは次章に明らかになります。

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