第61話 なろう系小説の奔流

フウイの一件以来、祭り之介やコモロウにも心境の変化がありました。

コモロウはフウイの失敗から焦ってはかえって物事が悪くなると考え小説を書くとき今まで以上に自分の書きたいことを言葉飾らず、それでいて荒れないように気を付けながら書くことにしました。


それと同時に今の小説を書きながらももっと自由な発想で書きたいとも思いました。

具体的には今の状況をベース(基盤)にするのではなく、より架空の設定でこうなったらいいなあと思う場面を想定して話を進めていきたいと思い始めたのです。

彼女の構想は後に現実となります。


彼女はほかにもいくつか気づいた点がありました。

なぜ、いまなろう系小説(異世界ファンタジー)が主流なのか、その答えが今の時代があまりに息苦しくて小説にするのもつまらないからだ、そう強く感じました。


コモロウは前からそれらしいことを感じてはいましたがフウイの件で現実は思った以上に言論の自由がないのだと思い知りました。

そしてそれは、一部の人々や思想に特権が与えられているこのような息苦しさや不公平を生んでいる、そう感じたのです。


人々の言論の不自由や不満がなろう系小説に対する渇望となって濁流のようなエネルギーを生み出しているのではないか、ますますそのように感じました。

さらに言えば今の時代、なろう系しか自由に自分たちの理想や願いの表現が許されている場がないというある意味絶望的な状態なのかもしれません。


情報の上流にいる人々は経験から、また情報を知らない人々はその雰囲気や空気から自由な表現が許されているのが小説の世界の一部でしかないことに気づいているということだと感じたのです。


もしそうならば、今の小説の路線では必ず妨害があり破綻してしまう、そうなる前に何か手を打たないといけない。


コモロウは祭り之介に小説の路線変更を強く訴えてみることにしました。

コモロウサイドの様子はこの辺にして祭り之介に焦点を移してみましょう。


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