其の拾伍 「形」{怖}


幽霊というのはどんな形で出てくるのだろう。


姿なのか、の姿なのか、人の形を保っているのか、そもそも不定形なのか。


色だって白黒かもしれないし、半透明かもしれない。


皆さんはこんな話を知っているだろうか?


その昔、とある国の医師がある実験をした。

死期の近い患者のベットに質量が測れるような細工を施して死んだ瞬間の質量の変化を測れるようにしたのである。

彼は、もし霊や魂があるならばそれらにもがあるはずだと考えたのである。


人が死んだ瞬間の体重を計った結果は、死んだ瞬間に、人によって様々だが少なくて5グラム、平均で10グラムほど体重が減少した。

30グラムも減少した者もいたという。


何年も実験を続けた彼の計測した患者の中で一番体重が減少したのは、意識不明で彼の病院にかつぎ込まれた妊婦であった。

彼女の心臓が停止した瞬間、計測器の針は一気に100グラム近く減ったという。


死んだ妊婦を解剖したところ、彼女は毒を服用していたことが判明した。

やがて、妊婦の夫が殺人容疑で捕まった。夫は愛人と一緒になるため妊娠中の妻を脅して無理やり毒を飲ませたことを認めた。

その夫は拘留中に妻の亡霊に悩まされ、気が狂って死んだという。


この話からも分かるように、人によって、正しくは人のによってが変わるらしい。

それならばそのによって形や色が違う、なんてことも考えられる。


話は変わるが寺の坊さんの子供が友達にいるんだけど、そいつが言うには何の霊か分からないと祓えるものも祓えないんだそうだそうだ。



だから僕は今、今日一日後ろを憑いて来た肉塊がなんの霊なのか、何処で連れてきてしまったのかを懸命に考えている、という訳だ。


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