第18話
モヤモヤした気持ちのまま俺は、2人にどう接したらいいのかがわからなくなった。
「さて……
もう、こんな時間ね。
私は、そろそろ帰らせて貰うわ」
遥ちゃんが、そう言って時計を見る。
時計の針は5時半をさしていた。
「じゃ、一!
近くまで送ってあげようよ!」
清空が、そう言って俺の手を引っ張る。
「じゃ、一を真ん中にして、3人で手をつないで帰る?」
遥ちゃんが、そう言って俺の手を握り締める。
「それは、構わないけど……
俺の手汗は半端ないよ?」
「知ってるよー」
清空が、そう言って笑う。
「私も知ってるわ」
逃げれないみたいだな。
どうか、その光景がクラスメイトに見つからないことを祈るのみ。
俺は、そう思いながら家を出た。
家を出て暫く俺たち3人は、雑談を交わしながら3人で手をつないで歩いた。
「お……?」
前の方から声が聞こえる。
聞き覚えのある声だ。
俺は、ゆっくりとその声が、聞こえる方に視線を移す。
そこには、恋次君がいた。
「れ、恋次君」
「一、卒業できたか?」
「第一声がそれ……?」
「あら、恋次。
一をその辺の男と一緒にしてもらっては困るわ」
遥ちゃんが、そう言うと恋次君が首を傾げる。
「どういう意味だ?」
「一に、そんな根性はない!」
遥ちゃんが胸を張って言う。
「まぁ、そうだな」
恋次君が納得する。
「でも、胸は触ろうとしたよー
私は、スカートをめくられちゃった」
清空が、誤解を生むような言い方をした。
いや、誤解じゃないんだけど……
確かに、やったことは事実なんだけど。
「ほう……」
恋次君が、興味津々な目で俺を見る。
「俺が、そんなことをするように見える?」
俺は、少し無理のある言い訳をした。
「一はやるときには、やる男だからな」
それは、いいこと?
褒められているの?
そんなことが、頭をよぎる。
「やったことは事実じゃん」
清空が、そう言って頬を膨らます。
「認めなさい」
遥ちゃんも俺を責める。
「胸を揉もうとしたことも、スカートをめくったことも事実です……」
俺は、あっさり認めることにした。
これ以上、ダダをこねても仕方がない。
「よろしい。
ご褒美に私の胸を揉むことを許してあげるわよ?」
遥ちゃんが、そう言って胸を突き出す。
「……えっと」
俺は、どうしたらいいか困る。
「冗談よ」
遥ちゃんが悪戯っぽく笑う。
「遥、一をからかってやるな。
可愛そうだろう?」
「そう?
私は、こういう初心(うぶ)な一が、好きなのよ」
「ええ?」
遥ちゃんの言葉に俺は、驚く。
「ダメだよー。
一は、私のモノだもん」
清空が即答する。
「一、モテモテじゃないか。
よかったな」
「恋次君の方が、モテてるじゃん」
俺が、そう言うと恋次君が、笑う。
「俺のは、たぶん違うと思う」
「どういうこと?」
「一にもそのうち解る日が来るだろう」
恋次君は、そう言って歩き出す。
「あ、待ってよ、恋次……」
遥ちゃんが、そう言って恋次君の後ろを歩く。
そして、俺の方を見る。
「今日は、ここまででいいわ。
ありがとう。
今日は、楽しかった……
一は、清空ちゃんを家に送ってあげてね」
遥ちゃんは、そう言うと恋次君と一緒に歩き出す。
ホント、この2人仲がいいよな。
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