第9話

 すると俺よりも早くに清空が、男の子に殴り掛かった。


「一をいじめるなー!!」


 清空が、泣きながら男の子を殴り続けた。


「なんだよ!

 女のくせに!」


 清空もやっぱり女の子。

 力では清空は男の子に勝てなかった。

 清空は、突き飛ばされる。

 そして、強引にスカートを脱がされ、その後に下着に男の子が手をかけたとき、俺の怒りは頂点に達した。

 俺は、その男の子の顎に蹴りを入れた。


「一君!

 止めなさい!」


 先生が、慌てて俺の体を抑える。


「どうして止めるんだ!

 俺の時は、止めなかったのに俺がするときにはどうしてとめるんだよ!!」


 俺は、怒鳴った。

 すると男の子が、俺に殴り掛かってきた。


「隆君も止めなさい!」


「こいつは、化け物なんだ!

 化け物は退治しなくちゃいけないんだ!」


 男の子は、そう言って積み木を俺に投げつける。

 しかし、清空が俺の盾になる。

 積み木は、清空の額に当たる。

 清空の額から血が流れる。

 清空は、泣きながら言った。


「一は、化け物なんかじゃないもん!

 優しい人だもん!」


「五月蠅い!

 ブース!」


 隆君は、今度は清空に向けて積み木を投げる。

 その積み木を恋次君が、受け止める。

 なんていうか……

 うん、幼稚園児ができることじゃないよね……

 そして、遥ちゃんが、隆君の頭をチョップする。


「痛いな!」


「清空の方が、もっと痛いんだからね!」


 遥ちゃんは、何度も何度も隆君のことを叩いた。

 清空は、その場で泣き崩れる。


「一は、私が護るんだから……

 私が、ずっとずっと護るんだから!」


 清空の声だけが、虚しく響いた。

 清空の額から血がボトボトと落ちる。


「大丈夫。

 今度からは俺が、清空を護るから……」


 俺は、そう言ってハンカチを清空の額に当てた。

 清空は、泣きながら「うん」と言った。

 すぐに救急車が来て、清空は、病院へと運ばれた。

 清空は、4針縫う怪我をしてしまった。

 この時誓った。

 運命なんてどうでもいい。

 この子を、一生かけて護ろうと……

 お互いの両親の意向で、俺たちは処分を受けることはなかった。

 隆君も処罰を受けなかったことには少し腹が立ったが、子供の喧嘩だしね……

 こうして、清空の優しさと恋次君の強さに隠れ……

 俺は、平穏な幼少期を過ごすことができた……

 そして、12年の時が流れ俺たちは、高校生へとなった。

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