第7話
そして、入学式が始まる。
入学式では、みんなザワついている。
落ち着いてない。
落ち着くわけないか、幼稚園児だもんな……
俺もなんか、心がザワザワする。
落ち着かない。
「一、緊張しているの?」
「え?」
「私が、一緒だから緊張しなくていいよ?」
清空が、ニッコリと笑う。
「大丈夫だよ。
俺は、別に緊張していないから……」
「ふーん」
清空が、楽しそうな顔をしている。
何が、そんなに楽しいんだろう……
俺には、理解できない。
前の人生では、友達なんてひとりもいなかった。
作りたくても出来なかった。
顔にある大きな痣、差別しない人もいたけれど……
差別する人の方が、多かった。
だからかな……
清空みたいに俺を受け入れてくれている人なんて初めてでどう接していいのかわからない。
それとも受け入れてくれていると思っているのは俺だけなのかな……?
清空からしたら俺は、どういう存在なんだろう?
やっぱり、かみさまが用意してくれた人って清空なのかな?
もしも、そうなのなら頷けるんだ。
だってそうだろう……?
拒絶され続ける俺を受け入れる。
そんなの空想の世界でしかありえない。
いや……
色んなアニメ、色んな小説、色んなゲームをしたけれど……
俺を受け入れてくれそうなキャラはいなかった。
だから、俺は、清空の存在が怖いんだ。
もしそうなのなら、俺が欲しかったモノとは、少し違う。
俺が、欲しかったモノ……それは……
俺が、そこまで考えたとき、トントンと誰かが俺の肩を叩く。
振り向くと、柔らかい人差し指が俺の頬をさす。
「あははは!
一君、引っかかったー」
遥ちゃんが、お腹を抱えて笑っている。
「なにかな?」
この子は、そうだな。
イジメっ子タイプだ。
こういうのに目をつけられたら痛い目に合うから避けなくちゃ……
遥ちゃんが、笑っていると遥ちゃんの頭を恋次君がチョップする。
「やめてやれ。
そいつ、今にも泣きそうな顔をしている」
恋次君は、あれだね差別しない子だね。
良い子なんだけどこの子と一緒に行動したら目立つな……
陰に隠れて生きるのも楽かもしれないけれど、世の中そんなに甘くない。
清空もそう。
清空が、かみさまが用意してくれた人じゃないのなら俺の他に友達沢山作って俺の事なんて忘れてしまうだろう。
うん。
きっとそうだ。
そうに違いない。
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