第22話 うちの嫁は慈愛の女神なのかもしれない

「キャサリンよ。アタシの女子力で、ちまたの女子を、魅力的に染め上げてみせるわぁぁぁ!!」

「同じく、ダイアナでぇ〜っす」

「同じく、ジャスミンよぉ〜ん」


 動きやすいようにと、男女共通する長袖長ズボン無化粧ながら、この3人はオネエだとハッキリ分かった。

 3人共エルフの美男子なので顔からは男女の見分けがつかないが、喉仏が膨らんでいて声が滅茶苦茶野太いからだ。

 それに常にシナを作ってるしな。


 予想以上に多い20人を引き連れて入って来たのは、オフィスレディ然とした執事服を改造したスーツっぽい姿の女性だった。


「お客様、申し訳ありません。勝手な行いをした者達は再教育へと回しますので、お許しくださいませ」

「構いませんよ。オシャレを前にして、我慢出来る女の子は少ないですからね」


 うちの嫁は慈愛の女神かっ!?


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「では全員住み込みで採用という事で。雇用開始は店舗及び宿舎が完成してから。全員に店員及び、家政婦メイド研修を受けて頂きます。店員になるにはテストで合格点を取った人だけで、不合格でもテストは何回でも受けられます。次のテストまでの期間は15〜30日の間で、試験管の都合がつき次第になります。他の細かな連絡事項は、実際に雇用開始してからにします。今回は質問を受け付けません」


 面接してみて分かったが、地球の服と料理の魅力は凄かった。

 誰も彼もが熱意に満ちた受け答えをして、噂に聞くバブル期の企業上位の採用面接ってこんなんじゃ? って感じでグイグイアピールしてきた。


 それと、麻痺と拘束魔法が使えるので用心棒も出来ますって言われて、魔法の練習全くしてないなって思い出した。

 奥の手の裏返しが最強クラスの技なので、別に魔法なくてもなーって思ってきたのもある。

 それに、コンテナを極めてまだ見ぬ高みへ到達する方が、他人との差別化が出来てないいいんじゃないかなって。


 別な事考えてたら商館の外に運ばれていた。

 幼児なのに頭使いすぎて若干ねむいのが悪い。

 この日は土地に帰って、空のコンテナの中で新しい日本産のベッドで寝た。

 夕飯を挟んで混浴してから、また寝た。

 朝まで抱き枕にされてたよ。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ギルドへは昼から行く予定。

 ダイクからの連絡も朝イチでは届いてないだろうし、まだ設計図を注文してから翌日だ。

 ヒャッハー状態で書き上げたとしても、3日はかかるんじゃないかと予想している。

 なので今日はギルドに料理のレシピを売りに行く。

 予定だったんだけどねー……


 なんか業火をモチーフにした豪華な馬車が、うちの土地の前の道に停車してるんだ。

 これって貴族フラグ立ってる奴なんじゃない?

 夏休みの宿題と同じで、逃げても解決しないし。

 ここは諦めて、対応するとしますか。

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