第18話 この世界にも地球が助かるための

 ダイクを伴って、ギルドで購入した土地に到着。

 したのはいいんだけと、さっきまであったはずの木造店舗がない!

 アイエー!?


「建築の邪魔になるので、収納しました」


 何この出来る妻は!

 可愛いので頬にキスをしてやったわ。

 ワハハハハハハ!


「ここの全てが今回使える土地になります。希望する建物についてですか……」


 ティアによるダイクへの、大まかなプレゼンテーションが始まった。


「了解した。希望に沿った設計図を用意しよう。完成したらギルドに伝言を残しておくので、うちまで来てくれ。それと土地ギリギリに作る壁は土地の宣言だと分かるんじゃが、店の左右に空き空間を設けるのはなんでじゃ? その分、店が狭くなるじゃろうに」


 そう、ティアが希望した店舗の大きさでは、隣の店、石壁、空き空間、店舗と、5メートルほど隣の店から距離を空けている。


「もしも隣接していて火事になったら、簡単に延焼してしまいますから」

「なるほどの」


 流石、大工のダイク。

 あれだけの説明で、全てを理解したらしい。

 まあ消防法がないだろう世界なので、利益の為なら土地を限界まで使おうと考えるわな。

 高い石壁なら燃えないし、熱も遮断してうちの店には届かなくしてくれる。

 これは日本での生活時間の差が、如実に出てますな。

 俺じゃ思いつかん。


「では、ワシは戻らせて貰うぞ」

「はい、よろしくお願いします」

「バイバーイ」


 俺も子供っぽく挨拶をしておいた。


「今日も宿を取ってあるのか?」

「いえ、ベッドが硬かったので、良ければ今夜からは、コンテナの柔らかなベッドで眠れればなと思っていまして」


「いいよ。久しぶりにあのベッドで同衾しようか」

「はい」


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 空き地の中央にコンテナをガワだけ召喚。

 隠し扉から入って、生活に必要な物だけをコンテナ内部に召喚していく。


「相変わらず便利な能力ですね。出せる物は変わらないのですか?」

「ん? ああ。一辺コンテナに仕舞って送還したモンしか召喚出来ねえけど? それがどうした?」


「いえ、あれから日本も技術革新していますから。荒野の世界とも経過時間に差がありましたし、アキラさんか転移してからもう、100年以上は経過していると思います。なので一度日本に帰って、物資のアップグレードをしませんか?」

「喜んで!!」


 コンテナの中からだと、コンテナごと転移した場合騒ぎになりそうなので、一度外に出る。


「あーーーーーーーーーーーー!!」


 叫ぶ声の方向を見ると、黒髪平顔女子がこっちに向かって指をさして立っていた。


「あーゆー、こりあん? おあ、ちゃいにーず?」

「あっ、あいあむ、じゃぱにーず!!」


「ティア、1名様追加で」

「はい」


 コンテナを送還すると、俺達と離れた場所に立つ少女の姿が掻き消えた。

 次に聞こえてきたのは、懐かしい日本での車が通行する音だった。

 俺と、俺の隣に転移してきた少女は、喜びのあまり、ガチ泣きしてしまった。

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