第16話 トントン拍子
応接室のテーブルに並べられた商品。
「これは、型紙と設計図か。ふむブラジャーとショーツと言うのか、用途は女性用の下着と」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「これらの商品をギルドに登録していただいて、どこかの工房等に製造を依頼しまして、うちの店に卸してもらう契約を結ぼうかと」
ティアが出した商品は、女性用の衣類や日用品全般であった。
それをうちの店、ギルド、工房それぞれに利がある提案を持ちかけた。
物が売れる事が前提であるが、確実に売れ続けるので問題ない。
うちは売れば差額から利益が。
工房はうちに卸して利益が。
ギルドは一度だけだが、登録費用と紹介料が。
それにレシピもいずれ公開するので、独占寡占販売による品質の停滞低下も、多分ないだろうって後でティアに聞いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ギルマス直々に商品登録をしてくれて、複数の工房にも案内された。
支配人も従業員も女性ばかりの工房で、どの工房も製作と販売の契約に食いついた。
これは後日、ギルドで説明会があって、説明会の後に本契約となる。
なお契約出来た工房では、従業員割引での販売も認められるそうで、特に服飾工房の熱の入り方が凄かった。
ファンタジー世界あるあるで、この世界の下着もタンクトップみたいなの、カボチャパンツ、コルセットのみらしい。
コルセットって下着なのか?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ギルドに戻ると解散。
ギルマスは金の臭いにウハウハで去っていった。
「これからこの街は、ランジェリー等の発祥の地として、ますます潤う事になる。ヒノ夫人には感謝してもしきれませんなー! ワイバーンのオークションでも名が売れますからな、アハハハハハハ!」
入れ替わりで応接室に入ってきた女性職員に、ティアは服や下着をサンプルとして出してみせた。
「女性をターゲットにした服や下着、日用品の専門店にしたいと思っています。店舗は家屋一体型で、隣接する広い土地は必須です」
「調べますので、お待ちください!」
地球のファッションに魅了された職員は、猛烈な勢いでファイルをめくり、腕と羊皮紙のページには残像が見えている。
てか、店舗は明日明後日じゃなかったの?
どこかで、売るのがファッションだって聞いてたの?
入室時点からそのファイル、持って来てたよね?
1分と経たずに、簡単な立地や間取りの書いたページを差し出して見せる職員。
目はランランと輝いていて、口は三日月型になっている。
両手も乙女ガッツポーズになっていて、本人としてはこれ以上ない候補を見つけたんだろうな。
資料を見た限りでは、広さも間取りも問題はなさそうだったので、現物を見に行くとしますか。
あっ、はい。
また迷子紐ですか、外に行くんだから仕方ないですよね、チクショー。
恥ずかしい。
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