第15話 ドワーフの見た目は美少年か美少女
運命の赤い迷子紐で結ばれた俺とティアは、使者さんの案内で商業ギルドの応接室に来ていた。
昨日からほとんどドワーフしか見ていないが、そう言えばここはドワーフの国だったなと思い出す。
日本人がこの世界を征服したなら、ドワーフ府とかエルフ府とか作るのかもしんない。
なお、この世界のドワーフは、身長120〜140センチの少年少女にしか見えない。
ヒゲも生えてなければ、樽体型でもない細身で足長。
だから一部の人間は、ドワーフを見る目が血走って鼻息が荒い。
うぉい、こっちみんな変態!
あの女、5歳児まで守備範囲なのか?
やべぇ……
あん? 黒髪平顔?
いや、まさかな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
案内された商業ギルドの応接室には、金髪碧眼の美ショ……う年が待っていた。
タじゃないよ、う年だよ。
「2人共、そこへかけてくれ」
こちらを見定める鋭い眼光は、大人のマネをしている子供にしか見えない。
だがただの子供が、そこそこ大きい地方都市のギルド応接室で客の対応をしているとは思えない。
おそらく目の前の男も、ギルドのマスターかサブマスターなのだろう。
「2人とは初対面だったな。俺の名はジョニー、ここの商業ギルドの総責任者をやってる。気軽にギルマスとでも呼んでくれ。あと、貴族じゃないんで家名はない」
「私はティアナ・ヒノ、こちらは夫のアキラです。ご丁寧にどうも」
「早速だが連絡だ。昨日のワイバーンはバラして王都に運び、オークションにかける事になった。ツイダル全土に知らせを出すから、2回先のオークションでの出品になる」
ギルマスは一旦区切り、目で質問はないかと問うてくる。
何も無いので無反応で返す。
「次に購入希望の店舗についてだが、ギルドで無利子無期限の借金での買い取りか、店舗のレンタルを選んでもらいたい。そっちにオークションの金が入るまでは、資金不足で悩まされるだろうから、こちらである程度の補助は確約しよう」
俺は早くも飽きたけど我慢している子供を装って、ソワソワキョロキョロしてみた。
ギルマスの鋭い目付きが、少しだけほっこりした。
「なぜ、そこまでなさるのですか?」
「俺の人を見る目は、今まで一度も外した事がないからな」
「そうですか……」
まー多分、直接見るのが条件の対象を調べる系の能力なんだろうな。
鑑定、解析、看板! って奴だな。
異世界3K?
「この後職員に店舗の希望を伝えて貰って、明日明後日には候補に案内させるが、予定は?」
「大丈夫です、問題ありません」
ティアめ、ネタをぶっ込みおったな。
案外素だったのかも知れないが。
「そうか、他には何かあるか?」
「では、私共が売りに出す商品をお見せしたいのですか、ここで出してもよろしいですか?」
「かまわない」
ギルマスの許可が出たので、自分の収納から物を出していくティア。
「どれどれ……こっ、これは!」
品を見たギルマスの顔が、驚愕に染まった。
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