第13話 人が集まり過ぎると(人)ゴミになる
ツイダル王国。
人口の8割をドワーフが占める、ドワーフの国だ。
高く厚い防壁に囲まれた王都の門では、入都待ちのなっがーい列があった。
「住みにくい国でしたので捨ててきまして。こちらで仕事を探して、新しい生活をしていこうと考えています」
「反応なし」
「ようこそツイダル王国へ、どうぞお通りください」
前の世界で俺が最初にしてた、異世界の冒険者的な防具一式に50センチくらいの1本の短剣。
その上から黒のマントを纏ったティアはフードを外すと、あまりの美貌に門番兵士の動きを止めさせた。
犯罪歴を調べたのだろうか?
1人の門番が水晶球を見て報告。
もう1人が通行を許可してくれた。
ちなみに通行料? 通行税? は、誰からも取ってないらしい。
「まずは商業ギルドからですか?」
「ああ。羊皮紙と羽ペンの看板が目印なんだったな」
「はい」
並んでる間に列の前後の商人相手に、ティアに聞いてもらった情報だ。
男は美人に弱い。
これ宇宙の……いや、数多ある全世界の真理!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ほえー、デッカイなー」
「はい、大きいですねー」
美少女の大きいいただきましたー!
看板目指して到着した商業ギルドは、横50メートル弱の3階建て。
「奥行きは分かんねえけど、ファンタジー世界でこの規模の建物なら、かなりデカイんじゃないか?」
「そうですね。私も情報だけの知識だけなので、実際に見るのは初めてです」
中に入ると受付台がズラーっと並んでおり、番号が削られた木札を取ってから硬いベンチに座る。
まるで日本の役所だな。
ここはどこまで仕事をしてるんだろうか。
役所的な仕事はしてないだろうが、著作権っぽい権利の登録もすれば、商品の売買から融資に借金にと銀行と商店を合わせた感じか?
「15の番号札をお持ちの方、こちらへどうぞ」
時間は昼を過ぎ、番号札も1〜2周したのだろう。
手にして呼ばれたのは、かなり若い数字だった。
読めないんだよ、日本語関係以外。
「アキラさん」
ん?
呼ばれてティアを見ると、ウインクひとつ。
うん、きゃわゆい。
番号札を持っているために解かれたティアの左手には、日本語に置換されてないのに読めるようになった数字が。
なるほど。
ティアが魔法か何かで、俺にこの世界の字をインストールしたんだろう。
ありがとうティア、愛してるよ。
俺もウインクを返してから、受付台に斜めに座らされる。
それから更に振り返ったティアに背負われる。
微妙に魔力を感じるな。
どうも俺への重力を減らしたか、体重自体に干渉してるんだろう。
体に重さを感じなくなった。
「いらっしゃいませ、商業ギルドへようこそ。本日はどのようなご要件でいらっしゃいますか?」
「この国で新しく身分証を得るために、商人として登録を。特上の品を持ってきましたのでそれを売りに出し、店舗を構える資金にしたいと考えています」
「かしこまりました。では先に商品をお出しいただきたいと思いますが、どの程度の量、大きさでしょうか?」
「ドラゴンほどではありませんが、かなりの大きさになります」
「かしこまりました。では、こちらに越しください」
幼児が何をと言われるだろうかティアに丸投げしたが、地球で暮らしてきただけあって俺より窓口での対応が上手い。
中2でティアと分かれてから、寿命まですっとボッチだったんだぞ?
コミュ力、マジ幼児並み。
受付対応していた職員に案内されたのは前世の中学の頃の体育館ほどの広く高い施設だった。
「ではこちらに商品をお出しください。馬車等へ取りに戻られますか?」
「いえ、特殊な収納能力がありますから大丈夫ですよ」
「失礼いたしました」
職員さんが軽く一礼している間に、彼の後ろにコンテナを召喚してパーツをバラバラにして、ワイバーンを静かに置く。
それから送還すれば、一瞬でワイバーンが出てきたように見える。
「お兄さん、お兄さん。息を止めてから、後ろに振り向いてみて」
「は、はあ……ブッ! っ……ゴホッゴホッゴホッ……ななななな、ワイバーン!!」
折角叫ばないようにと気を使ってアドバイスしたのに。
職員さんはむせてゲホゲホやった後に、全身全霊で叫びやがった。
ワラワラワラ。
そして集まる人、人、人。
うーん、収集つかない!!
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