第11話 これもある意味ロマンチックかドラマチックな初チューなのだろう
武術については脳に染み付いてるので、成長に合わせてゆっくりと体に馴染ませていけばいい。
なので待望の魔法の練習をしようと思ったんだけど……
「人里離れた土地で魔法の練習ばっかしてたらさ、この世界の常識なんて身につかないよな?」
「言われてみれば、そうですね。私の場合、地球の知識はパソコンで得ていましたから、日本での齟齬は少なかったですけど、多少はありましたし。この世界の知識も常識も、まだお互い持っていないですからね」
「だからあるなら冒険者ギルドか商業ギルドに入って、仲良くなった相手から教えてもらうんだよ。そこで得た金で宿に止まったりして街で生活して、世界に溶け込んでいけたらなって思うんだけど、どう?」
「とてもいいと思います」
「愛する妻の賛同も得ら」
「愛する……キュ〜」
バタン。
「ちょ!?あっ、いや、えっ? おい、ちょっとティア? ティアさーん?」
おいおい、ちょっとどーなってんのよ!?
なんか急にティアが赤面して気絶してるんですけどぅー!?
「まあ、いい……倒れた理由はともかく、コンテナァァァ!!」
中2から死ぬまで使い続けた能力だけあって、細かな指定も軽いイメージだけで可能になってんだぜ?
今回はいきなり俺達がコンテナの内部物資の上に来るように出した。
地面から1割程度盛り上がったくらいでコンテナを出すと、調度人がコンテナの中に入った状態になる。
しかも高さ的に物資に乗る。
ジャンプ中のコンテナ再召喚? アレの最中に適当な物を下に投げて、どうなるか調べたり練習したりしたんだよ。
おかけで今はこの通り。
幼児の肉体でも、気絶したり負傷したりした相手を運び込めるんだぜ?
体重40キロ代だろう軽いティアだが、推定5歳児では動かせません。
布団ですらギリギリ引きずるからな(自分のパワーにかなりの誇張表現があります)
だけど懐かしいな、初めて出会った時もこうして看病していたんだよな。
まあ現在最強の存在みたいだし?
頭も打つ前に体ねじ込んで受けためたし?
あの時みたいに素人診断の必要はないだろうな。
まさか目覚めて直ぐに、責任取ってくださいだなんて言われるとは思ってもみなかったよ(一度老いたしかなりの年月も経過しているので、一部記憶が変わっている)
それがまあ単身日本に行って、うちの両親から許可まで取ってくるなんてなあ……
ちょっと叫びたくなってきた(数十年振りに人に会い更に幼児化しているので、感情の抑制が出来てない)
バカン!
コンテナの操作にも慣れたもので、今ではハッチも隠し扉も自分の体のように遠隔操作出来る。
タラップを登りながら遠隔操作でハッチを開けて外に出る。
「すぅーーーーーー……」
そして心の赴くままに、思いっきり息を吸い込むと。
「ティアーーーーーー! 愛してるぞーーーーーー!!」
「私も、愛しています」
突然目の前に転移して、膝立ちで現れたティアに抱きしめられ、前世込みでの初チューを奪われた。
おおう、舌まで……なんて情熱的な。
もう、お婿に行け……いや、既に夫だったな! ハハハ。
感情が振り切れたのか、お子様脳には耐えきれなかったのだろう。
俺の意識は眠るように落ちていった。
「おやすみなさい。私の愛しい旦那様」
ティアの呟いた声は、半分も聞き取れなかった。
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