第10話 非モテの切実な願いを聞いてくれ

 世界間転移の能力だけ残して、能力に制限をかけたティア。

 分かれたあの日の姿のままで、幼くなった俺を抱えて別の異世界へと転移した。


「ここが例のオーソドックスな異世界なのか?」

「はい。その中でも、人もモンスターも全体的に弱い世界となっています」


「ここを選んだ理由は?」

「ここなら比較的安心して、アキラさんの成長を見守れますから」


 あー最初は、脅威の過多で世界をチョイスしたのね。


「私の顔やアキラさんのコンテナ目当てで、厄介事が訪れるでしょうけど、地球人はどんな異世界でも強く成長しやすいですから」


 魔力のない地球世界で育ったので、魔力を吸収しやすく自分の力にしやすいんだそうだ。

 ひとつ前の荒野と水球の世界は既に魔力が枯渇していて、最後の命があのゴブリン達とティアだったらしい。

 うむ、どおりで街も人里もないはずだ!

 だからどんだけ瞑想しても魔力を感じなかったんだな!

 なんで水球が消えてないのに、魔力は枯渇していたのかも不思議だが、全部ティアが込め過ぎた魔力のせい。

 魔力は使えば消えるし、増やすにも世界が生きてないとダメらしく、死んだ世界では魔力は増えないそうだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ぶっちゃけ衣食住は、コンテナがあるから問題ない。

 だから定番の、地球の知識で大儲け! とかする必要もない。

 各種電気を使わない遊具も、コンテナには積載されてるからな。

 特許があるなら先々のために売るのもいいかもだけど。


「では早速、アキラさん。モンスターや盗賊に襲われている馬車を助けたり、今にも死にそうな奴隷を格安で買って治療して虜にしていきましよう」


「待て、待つんだ、ジョ……ティア。少し俺の話しを聞いてくれ」

「はい」


「ハーレムに入る女性はみな適齢期かその手前だと思うんだ」

「はい、ほぼそうなりますね」


「一部いい女として加齢した女性もハーレム入りするかも知れないが、それは例外と断言していいだろう」


 ティアは返事こそしないが、視線はこちらを向いて続きを促している。

 まあ、抱き上げられたままだからなんだが。


「それで、ハーレム入りしたのに俺が子供……幼児だったら何年も待たさなきゃならないと思うんだ? なら他の見知らぬ男性達にも、出会いのチャンスは残しておくべきだと思うんだよ。これは元非モテからの、熱く切実な願いなんだ。モテる野郎ばっかり、美味しいとこだけ全部持っていくなよ! ってな」


「なるほど、納得です。でしたら精つ……んんっ、大人になるまでの間、どう過ごすのですか?」

(今、何言いかけたんだよ! 分かるけど!)

「それはもちろん、幼児期の修行成長パートだよ」


 こうして、俺の超強化期間へと突入したわけだが。

 だが俺はまだ、自分の容姿を知らない。

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