第7話 魔法の英才教育にはジャパニメーションが1番だね

 ティアが長時間座っていられるようになったので、東進を再開する。

 コンテナから3輪自転車(前1輪、後ろ2輪の奴)を引っ張り出して、レンチとかで組み立てる。

 チャリに連結させる内側が横120、縦150くらいの荷車も組み立てる。

 何気にブレーキのワイヤーの調節が難しかった。


 大きな子育て中にコンテナの物資は移動させ、外から分からない隠し扉の前は空けた。

 なので何かあってもチャリと荷車ごと、コンテナに逃げ込める。

 さあ、人里目指して出発だ!

 目標が都市サイズから村まで下がったけど気にしない。

 パンゲア大陸横断する気分じゃないと、とてもマイハートが耐えられそうにないからな!


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 あれから随分走った。

 休日なしで毎日続けていると、徐々に心の奥底に澱みが溜まっていくのを感じた。

 なので3日走ったら1日休日とした。

 今日はその休日である。


 物資を使って資料を見て作ったソファーとテーブル。

 ティアが膝に乗ってきて、テーブルのノートパソコンで映画やドラマを見る。

 これらの映像作品は大容量ハードディスク、俺的通称【大ハード】に収められており、ディスクの形ではなくコンテナの容量削減に、一役買っていた。


 やはり俺以外の人物との接触は必要なようで、言葉を話し出した当初は、一人称を私と直させたり男口調だったのだが。

 休日のテレビの時間を経るにつれ、ティアの女性らしさに磨きがかかっていった。

 パパ呼びもなくなったしな!

 ただ。


「アキラさん。私、今日は帰りたくないの」

「じゃあティアは今夜、外で寝るのか?」


「私、酔っちゃったみたい」

「酒は物資の下に封印してあるし、みりんや料理酒すら使ってないんだが?」


「うっ、もしかしてデキちゃったのかも」

「今日の分の、計算ドリルが?」


 アニメを吹っ飛ばしてドラマなんか見せたからか、魔法少女のマネじゃなくて女優のマネをしてるんだよ。

 そのほとんどが見当違いなんで微笑ましいんだけど、たまにドキッを通り越して。

 ボキッ!!

 くらいまで行きそうになるんだよ。

 精神的幼女相手にそれは反則で犯罪だろうと、日々戦々恐々としながら過ごしている。


 だって女だと自覚して誘惑してくるなら、膝に乗らずに左右に座って腕組んで当ててくるだろうからな。

 だから俺はまだ耐えられるし、耐えるしかない。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 今日からティアの再教育と子供向けアニメを見せたからか、コンテナの外で魔法の練習をしている。


「ラディカル、マジカル、ジェノサイド!」


 うん、殺伐。

 なんて思っていたら、ティアのかざす両手の先に魔力? の玉が出来上がっている。

 さっきジェノサイドとか言ったからかな?色が血のように赤の混ざったドス黒なんだけど?

 しかも熱は感じないのに、陽炎みたいに向こう側が揺らいで見えるんだ。

 空間にまで影響してるのかな?

 このまま水平に撃ったら、間違いなくアカン奴やんね?

 内心かなり動揺しとう、標準語が浮かんできーせん。


「ティアー、それ、太陽の反対の空に撃とうか」

「はい……ダーク・スマッシャーーー!!」


 斑に赤の混ざった闇の砲撃は、か細い閃光となって空へと消えていった。

 そして1分くらいの間、昼を夜に変えてしまった。

 これ、手加減覚えさせないと、世界が滅びるや。

 でも今は、目一杯褒めようと思う。

 世界を滅ぼさなかったからな!!


「ティアは、凄いね。あんなに強い魔法を、ちゃんと制御出来たんだから」

「ホント!?」


「うんうん。俺はティアにだけは、嘘も誤魔化しもしないからな。全部、ホントの事だよ」

「じゃあねアキラさん、ご褒美に一緒にお風呂に入って、私の体を洗って」


 今夜、俺の理性が試される!!

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