第4話 泣いたっていいじゃない、多感な時期だもの
俺はもう14にもなってるんだから、泣いたなんて事実はない。いいね?
新品のウェットティッシュで食器とかを拭き取って、ゴミ袋にポイ。
電池の節約にソーラーバッテリーのランタンを使用して、コンテナ内部を照らす。
肩にかけたクーラーボックスから取り出した鍋なんかを、元の位置に戻しておく。
俺は全裸になって学ランや下着の代わりに、ファンタジー世界でよく見るような、紐で縛るハーフパンツの下着とシャツやズボンなんかに着替えた。
コンテナの耐久力がどれほどか不明なので、モンスターからは積極的に逃げなければならない。
だが逃げられない状況を想定して、革のブーツ、野球のキャッチャーが足に着けるプロテクターっぽいの、ミニスカみたいな腰防具。
そんな感じで革の兜まで、ガチガチに防御を固めた。
左手の丸盾は握りに腕を通せるので、普段は腕に通しておいて、戦闘時は武器に合わせて握りに変えたりする。
悩んだ末に武器は短剣、ってもナイフみたいな短さじゃなくて、刃の部分だけでも60センチはある。
この短剣を2本腰の剣帯に吊るして、180センチ以上ある長い槍も持っていく。
戦いはリーチ、次に手数だと思ったからだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
順番間違えた。
先に荷物を選ぶべきだった。
武器と盾と兜と小手を外して、布のワンショルダーバッグに旅の荷物を詰めていく。
ビーフジャーキーにカロリーブロック、革の水袋。
アウトドア番組で見た事のある、着火用の金属棒セット。
食器、ナイフ、小さな鍋、寝具と雨具になるマント等々。
おっと、折りたたみ式のスコップも忘れちゃいけないな。
欲しいものを入れて重くて選び直して。
それでも20キロくらいにはなった。
水が1番、かさばるし重いんだよ……
それでも気軽にコンテナを出すわけにもいかない、なんて状況に陥るかもしれない。
大型モンスターに襲われて隠れた洞窟じゃ出せない、なんて可能性もあるからな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
外に出てコンテナを消すと、太陽の位置を確認して東へ向かって歩く。
歩きながらふと思った。
(コンテナ、地面からせり上がるように出ろって指定出来るんだし、空から落とすのも出来るんじゃね?)
って。
なので早速実験してみた。
いや、待てよ? 先にどこまで遠くに出せるかにしよう。
安全性を考慮して地平線辺りに出るようにイメージしつつ……
「地平線辺りにコンテナ、出ろ!」
うん、出た。
20メートルくらい先にだけど。
コンテナを消して、今度は20メートル先の上空に出せるかの実験。
「出ろ! って、うおーーーーーー!!」
コンテナは20メートル先どころか、俺の頭上20メートルに出現しやがった。
慌てて走って逃げてから、コンテナが斜めに着地する前に。
「消えろーーーーーー!!」
コンテナを消す事に成功した。
「ふーっ、あっぶねー。死因マヌケな自死とかシャレにならねえって」
流石に緊張したので少し休憩だ。
ビビって腰が抜けたわけじゃぁー、ない!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
あの後、歩きながらコンテナの出現位置について実験を繰り返して分かった。
出せるのは俺から半径20メートルまで。
横縦の順でイメージして、その距離が20メートルを超えたなら、縦でイメージした距離が残り、横は短縮される。
つまりさっきのコンテナプレス事件は、縦20メートルのコマンドが優先されて、横が0メートルになったので起こった悲劇だったのだ。
それとしばらく実験してから思ったのだが、やっべコンテナん中身、グチャグチャになってんじゃん!!
頭を抱えてハッチを開けてみると、出発前に見たまま、何の変化もなかった。
試しにガラスのコップに水を入れて置いておいたが、いくらコンテナフォールを繰り返しても、コップにも水にも何の変化も起きなかった。
コンテナ無敵説、急浮上!!
「ヨッシャーーーーーーーーー!!」
俺の絶叫が、無人の荒野に轟いた。
はず。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。