第3話 涙
目覚めると、手探りで懐中電灯を見つけて点灯させる。
コンテナ内部は壁側と中央に荷物が積まれ、その隙間に長方形の線部分だけの僅かな通路が設けられている。
出入り口は天井にあるハッチと、外からでは分からないように偽装されたドア。
そのドアも、今は荷物が塞いでいて使う事は出来ない。
ハッチに出るためのコンテナ壁面に溶接してある梯子?タラップ?凹型のアレの内側に、コンテナ内部の見取り図が貼り付けてあったので、全容を知る事が出来た。
グギュルルルルルル〜。
腹減ったな。
それに膀胱の水分も処分してしまいたい。
タラップを上がりハッチを開くと、コンテナの天板に出る。
コンテナを出したのが俺の能力なら出来ると信じてやる。
「コンテナ! 地面に沈むように消えろ!」
コンテナの上からシャワーすると、風向きが変わればコンテナが汚れる。
だが10メートルもあるコンテナからは、飛び降りれない。
命令通りにコンテナが下から消えていく事に満足しながら、俺はズボンのファスナーを下ろした。
ジィーーーーーー。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
手を洗う水がもったいないし、持ち運ぶだけの余裕もなかったので、手洗いは除菌洗浄効果のあるウェットティッシュで済ませた。
限りある資源は使い捨てに出来ないので、ゴミ袋に入れておき、どこかで洗って使い回す予定だ。
この世界の技術でウェットティッシュが作れるなら捨てるんだがな……ばっちいし。
「せり上がるようにゆっくり出てこい、コンテナ!」
降りた時の逆になるよに念じながら声に出してみたら、半分成功して半分失敗した。
「ちょっ、足元にって追加条件入れとかなきゃダメなのかよ!」
漠然と足元から出てくると思っていたコンテナだが、目前2メートルの位置から音もなくせり上がってきた。
慌てて走って飛び乗りながら、コンテナを出す条件付けを忘れないように口にした。
ボヤいたとも言う。
またハッチからコンテナに入り、タラップに結びつけていた、懐中電灯の手首に通す紐を解く。
昨日なのか?寝る前に見つけた水の付近に、レトルトや缶詰、カロリーブロック等の保存食が山積みされているのを発見した。
当然、賞味期限の短い物から食べていく。
賞味期限を調べていると隣のフォークリフトで運ぶ木の台板? あれに乗っているダンボールから生野菜が出てきた。
食うならこっちからだな。
更に隣の台板には食器や調理器具、ガスボンベの携帯コンロがあった。
ふむ……鍋タイム?
コンテナの天板で生野菜サラダと言ってレタスを頬張りながら、クーラーボックスに置いたまな板で大棍なんかを切っていく。
顆粒出汁がもったいないので、クーラーボックスに入っていた最初で最後の鶏肉を出汁にした。
「ゴブリンは不味いってのが定番だが、オークなら食えるのか? それともモンスター全般が食うのNGとか? 分かるまでは肉食えないよなー……」
日本で食ってたメシよりも圧倒的に不味いのに、鍋を食ってたら涙が出てきた。
そしてそのまま、堪えきれずにガチ泣きしてしまった。
恥ずかしいので、ここから先はカット。
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