第5話 ルイーナの魔法講座①
猫の耳亭の裏庭にて。
私が異世界に来た次の日。私はルイーナにある頼み事をした。
「魔法を教えてほしい?」
「うん。せっかくファンタジー世界に来たんだから魔法はぜひとも使ってみたい!」
「ふぁんたじー? が何なのかはわからないけど、ナギちゃんの頼みなら全然オッケーだよ。あ、でもちゃんとわたしの言うことは聞いてね。魔法って使い方次第ではとても危険だから。あといきなりは危ないからまずは座学からね」
「了解!」
というわけで私はさっそくルイーナの魔法講座を受けることに。
「講義の前にひとつ聞きたいんだけど、ナギちゃんの世界に魔法はあった?」
「いや、それが全然ないんだよ。代わりに科学が発展してたけどね」
「魔法が全くない世界か。わたしにとって魔法は手足のようなものだから全然想像できないなー。そうだ。授業料代わりというわけじゃないけど今日の夜にでもナギちゃんの世界の話聞かせてね♪」
「いいよー」
「楽しみだなー。じゃあ改めて。こほん。それでは講義をはじめます」
そう言うとルイーナはどこから取り出したのか眼鏡をかけた。教師スタイルのルイーナもいいね。
「じゃあまずは基礎から。前提として魔法はわたしたちの体内にある魔力を使います」
「ごめん。私のいた世界では魔力なんてなかったからいまいちピンとこない」
「そこからか~。ナギちゃん手出して」
「こう?」
私が右手を差し出すと、ルイーナがその手をつかむ。うおっルイーナの手ちっちゃ!?
「ナギちゃん。今からわたしがナギちゃんに魔力を流すから感じとってくれる?」
「オッケー」
目をつむると右手の先からなにか暖かいものが私の中に流れてくるのが感じとれた。
「この暖かいものが魔力?」
「そうだよ。ちょっと魔力をナギちゃんの体に循環させてみるね」
「あっ……」
なにこれ。めっちゃ気持ちいい。
「温泉に浸かってるみたいだ」
「ナギちゃんほんとに温泉が好きなんだね。昨日もかなり長湯してたし」
嬉しい誤算でなんと猫の耳亭には天然の温泉がついていた。それを知った私がすぐさまお風呂場に直行したのは言うまでもない。
「それにしてもナギちゃんの裸きれいだったなー」
おっと。この子しれっととんでもないことを呟いてやがりますよ。
「それに比べてわたしは小さいし胸には無駄な脂肪の塊がふたつ付いてるし……」
「よろしい。ならば
「ナギちゃん急にどうしたの!?」
私は掴まれてない方の手でルイーナの大きいおっぱいをわしづかみする。もみもみもみもみ。くそぅ。ロリのくせにけしからんパイオツしやがって。
「めっ」
「あいたっ!?」
ルイーナに頭を杖で叩かれてしまった。
「もう、ふざけるなら魔法教えないよ?」
「申し訳ございませんでした」
気を取り直して体中を巡る魔力に意識を向ける。なるほど、血液みたいなイメージで考えればいいのか。
「ナギちゃんどう? 魔力がどんな力か理解できた?」
「うん。イメージはつかめたと思う」
「じゃあ次は自分の魔力を認識しよう。ちょっと自分の魔力を感じ取ってみて」
目をつむり意識を集中させるとおなかのあたりに熱が生じた。あとはこの熱を頭のてっぺんまで持っていって、それから背骨を通ってお尻、かかと、つま先、そして最終的に元の場所へ。
そんな風に私が魔力を体内でグルグル回していると、ルイーナが興奮した様子で私の両肩をつかみ、グッと顔を近づけた。
「すごい! すごいよナギちゃん! もうそこまで魔力をコントロールできるようになったの?!」
「る、ルイーナ近い……」
「おっとごめんね。でも本当にすごいことなんだよ。普通なら魔力を感じ取るのに数日、自由自在に動かせるようになるには早くて数か月はかかるんだから」
「そういうものなんだ。ちなみにルイーナは?」
「わたしは3日もかかっちゃったよ」
「ただしわずか3歳のときにという注釈がつくけどね」
クロさんが呆れたように言う。
「あれ、お父さんいつの間に」
「もうお昼だからふたりとも手を洗って食堂に来な」
「りょーかい。じゃ、ナギちゃん続きはお昼ごはん食べてからね」
午前中の成果。
自分の中にある魔力の存在に気づき、体内で循環させるコツをつかんだ、
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